危機迫る ウクライナ原発で作業員が大量脱出、安全性にリスク

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胸元にロシア国旗のワッペンのある兵士=4日、ウクライナ・ザポリージャ原子力発電所付近/Alexander Ermochenko/Reuters

胸元にロシア国旗のワッペンのある兵士=4日、ウクライナ・ザポリージャ原子力発電所付近/Alexander Ermochenko/Reuters

ウクライナ・ザポリージャ(CNN) ロシア軍がウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所付近の町で砲撃を始めた時、発電所に勤務するエレナさんは脱出するときが来たと決心した。

エレナさんはロシア軍が3月にザポリージャ原発を襲った後、数カ月間同原発で働き続けていた。欧州最大の原発の運転を続けるため、実質的に人質となった数百人の作業員の一人だった。

だが、度重なる爆発と幼い息子の命の危険から、リスクを冒しても脱出することを決めた。

エレナさんはCNNの取材に「恐ろしい」「あそこではすべてが爆発する」と語る。

CNNはエレナさんの身の安全の懸念から、ファーストネームのみを使用する。

ウクライナ側はロシア軍が原発を盾として利用し、深刻な被害や大災害を引き起こす危険性があると批判する。これに対しロシア側は、ウクライナ軍が原発への砲撃を続けていると主張する。

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日の国連安全保障理事会に向けた演説で、ロシアが原発を「戦争地域」に変えることで「世界を放射能の大災害の淵へと追いやっている」と述べ、原発の非武装化を訴えた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、ロシアが「世界を放射能の大災害の淵へと追いやっている」と述べた/Alexander Ermochenko/Reuters
ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、ロシアが「世界を放射能の大災害の淵へと追いやっている」と述べた/Alexander Ermochenko/Reuters

エレナさんは「夜には(ロシア側が)貯水池の背後のどこかで砲撃をしている」「それと同時に大きな車が火を噴くなど、非常に多くの爆発が起きている」と語る。

原発周辺でのロシア軍の行動が招く結果への懸念から、作業員の大量脱出が進む状況が生まれている。

まだ原発で作業員として残っているダリアさんは「直近2週間でスタッフの大量脱出があった」「数十人が群れをなして逃げた」と語る。CNNは安全上の懸念からダリアさんの本名を使用していない。

前述のエレナさんは、原発の作業員が同地にいるロシア軍に恐怖を感じていると語る。兵士らは機関銃を携行して歩き回り、夜には「酒に酔って空に向かって発砲する」という。

エレナさんは「私の脱出する直前に1人の男性が殺された。それが私の脱出の理由だ」とも語った。

ウクライナ議会のルビネッツ人権コミッショナーは24日、3月以降ロシア軍の暴行や砲撃で死亡した原発作業員は3人で、少なくとも26人が情報を漏らした疑いで拘束されたと明らかにした。

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