緊急首脳会議から4つのポイント、ロシアのウクライナ侵攻対応を協議

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NATO首脳会談後の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻について話すバイデン氏/Evan Vucci/AP

NATO首脳会談後の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻について話すバイデン氏/Evan Vucci/AP

(CNN) ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、ベルギー・ブリュッセルで開かれた西側諸国首脳による24日の危機対応協議は、前例のないレベルの団結をうたって終了した。ただ、そうした国々の対応方法の限界も改めて見せる形となった。

会合の最中に付きまとった疑問は、ロシアのプーチン大統領が行き詰まる戦況を打破するために次に打つ手が何かという点だった。

首脳会議の大半は非公開で行われ、機密性の高い計画が漏れないように部屋に立ち入る人数も制限された。

それでも会議後の声明には、ウクライナを支援する各国の決意と今後の展開に対する理解が明確に示されていた。

会談が相次いだ24日のポイントを4つにまとめた。

バイデン氏はG20からのロシア排除を支持

主要20カ国・地域(G20)にロシアの残留を認めるのか。これはブリュッセルの至る所で聞かれた質問だ。

これはこの場では決められない問題だった。ここには北大西洋条約機構(NATO)諸国とG20より小さな主要7カ国(G7)の国々しか集まっていなかった。それでも、ロシアの孤立化に関する首脳らの意思を確認できる場になるとの展望があった。

ロシア排除の考えを最初に提案したのはポーランドで、NATO本部での首脳会議で議論された。バイデン米大統領もこの案を支持し、さらに次のG20首脳会談(サミット)でウクライナを招待する案を提起した。次回G20サミットは今年11月にインドネシアで開催される。

バイデン氏は記者会見でロシアの排除について問われると「私の答えはイエスだ」と回答した上で、「それはG20次第だ。今日提案はあったが、インドネシアや他国が同意せず実現しない場合、我々はウクライナが会議に参加できるように求めるべきだと思う」と語った。

ロシアの排除はG20の構成国の一部には行き過ぎた行為に映るだろう。民主主義国家だけでなく独裁国家も含むこのグループでは、中国が反対の意思を示している。

ただ、ブリュッセルに集まった一部の首脳はこうした対応を経験済みだ。プーチン氏がクリミア半島を併合した2014年、ロシアは主要8カ国(G8)から外され、グループはG7となった。

米国、ロシア人数百人への制裁とウクライナ人難民支援を発表

大規模な首脳会議の運営者は、会議終了時に首脳らが発表する「成果物」の準備を数カ月かけて行うのが通例だ。

だが今回は、団結を示し、ウクライナを支援し、ロシアを罰する最良の策について数日のうちに決定する必要があった。ある面で時間不足は明白で、24日の多くの発表が単一の調整が効いたものではなく、一方的な発表の形となっていた。

それでもバイデン氏は、ロシアの下院議員300人以上と防衛企業40社以上に対する制裁を打ち出し、対ロシア制裁のトーンを作り出した。

さらに、米国がウクライナの戦火を逃れた難民を最大10万人受け入れるとも発表し、欧州で深刻化しつつある人道危機を緩和する対応を見せた。政権高官は難民受け入れに向けて「あらゆる合法的な手段」が使われると述べた。

慌ただしいスケジュールの中でも、NATOとG7は長文の声明文を発表。すべての国がウクライナへの軍事及び財政支援の提供への支持を確認し、NATO東側国境でのNATO軍のプレゼンス強化への支持も繰り返した。

バイデン氏や同盟国首脳はゼレンスキー氏の航空機提供の要請に応じられず(応じず)

首脳会議が進む中、24日午前にはウクライナのゼレンスキー大統領がバーチャル形式で参加し、より多くの支援を求めた。

従来から主張していた飛行禁止区域の設定には言及しなかったものの、戦闘機や戦車、高度な防空の必要性を訴え「あなたがたの全航空機の1%、全戦車の1%を供与することは可能だ」と語った。

感情のこもった演説は米高官が「雄弁だった」と評価するものとなったが、それでも戦闘への直接関与を嫌う西側諸国の首脳を動かすことはできない様子だった。

ゼレンスキー氏の演説後、米高官は米国が依然としてウクライナへの戦闘機供与に反対していると述べた。米当局者からはこれまで、こうした動きがプーチン氏に事態をエスカレートさせる対応と見られる可能性があるとの声が上がっていた。

バイデン氏は、ウクライナでの軍事行動を排除したことがプーチン氏を大胆にさせたことはないと主張した。また、軍事行動を検討の対象から外すのが早すぎたとの指摘も当たらないと述べた。

バイデン氏、ロシアがウクライナで化学兵器を使用した場合の対応を約束

ブリュッセルに集まった首脳らは、プーチン氏がウクライナでの戦況打破のために、化学兵器や生物兵器、さらには核兵器をも使うのではないかとの懸念を抱いていた。

当局者からは、こうした展望はNATOに新たな態勢を迫ることになるとの声が出ているが、それがどのようなものになるかは明確でない。

バイデン氏は米国が化学兵器の使用に対応すると述べたが、「対応の性質は使用の性質による」とした。

舞台裏では、プーチン氏がこうした極端な手段に出た場合に備えて、米当局者が米国の取りうる対応方法について早急に策定を進めている。

さらにNATO加盟国は、ウクライナで使用された化学兵器の有毒物質が国境を越えて流れ込む場合を含め、どんな事象がNATOへの攻撃に当たるかの確定を進めている。

G7は最終の共同声明で、こうした攻撃に反対する警告を記した。NATOのストルテンベルグ事務総長は、化学兵器の使用は戦闘の性質を根本的に変えると述べた。

それでも、西側がどのような対応するのかが明確に見えないまま、各国の首脳は帰路に就いた。

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