ビザ却下からネット上の嫌がらせまで、中国特派員を阻む「前例のない障害」

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北京冬季五輪の取材の拠点となるメインメディアセンター(MMC)で作業する記者=1月31日、中国・北京/Gabriel Bouys/AFP/Getty Images

北京冬季五輪の取材の拠点となるメインメディアセンター(MMC)で作業する記者=1月31日、中国・北京/Gabriel Bouys/AFP/Getty Images

ニューデリー(CNN Business) 中国で活動する外国人特派員らでつくる中国外国人記者クラブ(FCCC)は31日に発表した年次報告書で、中国政府がジャーナリストや取材源に対して新たな脅迫の手段を講じていると伝え、外国人特派員は「前例のない障害」に直面していると指摘した。そうした障害には、インターネットでの嫌がらせやハッキング、ビザ却下、身体的暴行などが含まれる。

調査に回答した外国人特派員はほぼ全員が、中国での取材状況は国際的な水準を満たしていないとの認識を示した。調査は2021年12月に実施され、同団体に加盟する各国の報道機関の特派員192人のうち127人から回答があった。

報告書によると、中国政府が独立した報道に対する妨害を続ける中で、中国取材はますます「リモート報道」になりつつある。

北京冬季オリンピック(五輪)の開幕を間近に控え、世界の報道機関にとっては報道の自由が阻まれることで大会取材が難しくなっている。

取材活動を始めようとしても、新型コロナウイルスのパンデミックや地政学的な緊張を理由に新規のビザが発給されないジャーナリストがあまりに多く、中国で活動する外国メディアは「危機的な人手不足」に陥っていると報告書は指摘する。一方で、中国政府はビジネスビザなど特派員以外のビザは発給しているという。

ジャーナリストの数が足りずに支局が人手不足に陥っているという回答は46%に上った。

中国は20年初め、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルといった米国の報道機関のジャーナリスト多数を国外追放した。

21年11月には双方のジャーナリストに対するビザ制限緩和で米中が合意したが、報告書によると、同年末の時点で中国はまだ、合意の下で約束した米ジャーナリスト数人のビザを発給していない。

外国特派員に対する嫌がらせを指摘したFCCCの声明について中国外務省報道官は、中国での取材活動は「オープンで自由な」環境にあるとして、FCCCの報告内容を否定した。

中国での取材活動は新型コロナウイルス対策規制にも阻まれている。全土で相次ぐ突然のロックダウン(都市封鎖)によって、記者が取材の中止や延期を強いられている実態も判明した。記者の半数以上は「危険がなくても健康や安全上の理由で退去を求められたり取材を断られたりした」と回答した。

当局は取材を断る表面上の理由として、コロナ対策を持ち出すことが多いと報告書は指摘。この理由から、ウイグル族などの少数民族に対する人権侵害が伝えられる新疆ウイグル自治区への立ち入りも難しい状況にある。

昨年、新疆ウイグル自治区を訪れたジャーナリストのほぼ90%は、「大抵の場合、私服の男たちによって、あからさまに後をつけられた」と報告した。

中国当局は取材源に対する弾圧も強めている。中国人の取材源が警察に脅迫され、直前になって取材のキャンセルを余儀なくされることも頻繁にあるという。学者やシンクタンク、国有企業や民間企業の従業員も、外国人記者と話すためには上層部の許可が必要とされ、取材が難しくなっている。

一方、回答者の4分の1は、中国での報道の結果、インターネットで標的にされたと訴えた。BBCやNPR、エコノミストといった報道機関は「報道内容を理由に、国家が関与する組織や国営メディア、匿名のSNSアカウントから攻撃された」と報告書は伝えている。

FCCCは31日のプレスリリースの中で、「そうしたキャンペーンが中国国民の間で外国メディアに対する敵対感情を高めさせ、現地のジャーナリストに対する暴力や嫌がらせを助長している」とした。

FCCCは「外国人ジャーナリストや家族に対する国家の嫌がらせはあまりに激しく、憔悴(しょうすい)し、攻撃されて、中国本土を離れた特派員もいる」と指摘している。

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