ノーベル経済学賞、「自然実験」に貢献の米大教授3氏に授与

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ノーベル経済学賞の受賞が決定した米大教授3氏を発表するスウェーデン王立科学アカデミーの記者会見=11日、ストックホルム/Claudio Bresciani/TT News Agency/AFP/Getty Images

ノーベル経済学賞の受賞が決定した米大教授3氏を発表するスウェーデン王立科学アカデミーの記者会見=11日、ストックホルム/Claudio Bresciani/TT News Agency/AFP/Getty Images

ロンドン(CNN Business) スウェーデン王立科学アカデミーは11日、2021年のノーベル経済学賞を米大教授のデービッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスの3氏に授与すると発表した。実世界に根差した実験を通じて、社会で解決が必要とされる課題に正確で驚くような答えを導き出せることを示した点が評価された。

カード氏は最低賃金や移民、教育に関する画期的な研究を行った。研究者が実世界で展開する状況を観察する「自然実験」を通じて、最低賃金の上昇が必ずしも雇用の減少を生まないことを示した。

アングリスト氏とインベンス氏は自然実験から因果関係に関する正確な結論をどのように導き出せるのかを示した。

経済学賞委員会のピエテル・フリードリクソン委員長は「社会の中核的な課題に関するカード氏の研究と、アングリスト、インベンス両氏の方法論的な貢献は自然実験が知識の宝庫であることを示した。彼らの研究により、社会に大きな便益をもたらす因果関係の問題に答える我々の力が大幅に向上した」と3氏の業績をたたえた。

カード氏はカナダ・ゲルフ出身で米カリフォルニア大バークレー校教授。アングリスト氏はマサチューセッツ工科大学の教授。インベンス氏はオランダ・アイントホーフェン出身で、現在はスタンフォード大学の教授を務める。

同アカデミーによると、カード氏が行った1990年代前半の研究は既存の考え方に挑戦するものだった。ニュージャージー州で最低賃金が上昇した際に起きた事象と、隣のペンシルベニア州の労働市場の条件とを比較して、最低賃金の上昇が雇用を減らすという一般的に受け入れられていた理論を覆した。臨床試験と異なり研究者が状況を制御しにくい自然実験で、同氏は各州に住むファストフード従事者を比較する手法を用いた。

アングリスト氏とインベンス氏は自然実験からどのような因果関係の結論が導き出せるのかを示すことで、自然実験の活用を促進した。

ノーベル賞の賞金1000万スウェーデンクローネ(約1億2900万円)については、カード氏が半分を受け取り、アングリスト氏とインベンス氏が残り半分を2人で分け合う。

ノーベル経済学賞は正式には「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」として知られ、スウェーデンの中央銀行が設立した。

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