アパートに潜んだ子ども4人のアフガン脱出劇、米国で母と間もなく再会

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スニータさんと4人の子ども/Courtesy Suneeta

スニータさんと4人の子ども/Courtesy Suneeta

(CNN) アフガニスタンの首都カブールのアパートに子どもたちだけで隠れていたきょうだい4人が無事に同国を脱出し、29日夕、米国に到着した。

母のスニータさんは28日午前、「子どもたちはもう安全です」とCNNに語った。

米軍の協力者だった夫は8年前に行方不明になった。自身は2018年に米国に移り住み、子どもたちも渡航させようとしていたが、イスラム主義勢力タリバンが首都を制圧したことで、事態は一層緊迫化した。

子どもは4人とも18歳未満で最年少は7歳。スニータさんは米難民移民委員会のサラ・ロウリー弁護士の力を借りて、米政府や支援団体に助けを求めた。

幾つもの障害に突き当たった子どもたちの脱出劇には、現地のボランティアや見知らぬ人たち、非営利組織、米政府機関などが協力した。

27日午前、子どもたちが無事アフガニスタンを出国する便に搭乗したとの知らせが入ると、ロウリー弁護士は「感情的、肉体的、精神的に、あらゆる面で消耗した」「希望がわいた瞬間も、絶望した瞬間もあった」と語り、「私たちはお互いに、まだ終わっていないと言い続けた」と振り返った。

今回の脱出劇は、31日の米軍撤収期限が迫る中、混乱状態のカブールから人々を脱出させようとする民間や政府機関の取り組みの一端を浮き彫りにした。

米ホワイトハウスによると、27~28日にかけての24時間の間に約6800人が米軍機や有志連合軍機でカブールから避難した。米国が脱出させたり脱出を支援したりした人は、14日以来、11万4000人に上る。

4人の子どもたちは、アパートに潜んでいる間は誰かに見つかることを恐れ、いったんは空港へ向かおうとしたが、大勢の人が空港のゲート前に詰めかける中で押し合いに巻き込まれることを恐れて引き返した。

「空港から自宅へ引き返すのも恐怖だった。道路がどんな状況なのか分からず、いつ誰に出くわすかもわからなかった」(ロウリー弁護士)

間もなく元米陸軍兵のアレックス・プリツァスさん(36)が支援に加わった。プリツァスさんはかつてイラクで従軍し、アフガニスタンで情報要員を務めた経験の持ち主。退役軍人や民間人のボランティアでつくるネットワークに所属して、米コネティカット州の自宅から、アフガン脱出を支援している。

プリッツァスさんは子どもたちの居場所を突き止め、アフガニスタン国内のボランティアと連携して子どもたちを安全な場所に移し、そこから空港へ移動させることに成功した。しかし空港内に入らせようとして再び困難に突き当たった。

ロウリー弁護士によると、子どもたちは空港のゲート前で30時間以上待機した。26日に別のゲート付近で170人以上の死者を出した攻撃後も、その場を動かなかった。

「本当に恐ろしい決断をしなければならなかった。ゲートが再び攻撃される可能性は大きかった。そこを離れて出国の機会を逃すリスクをおかすのか。それとも空港に入れる保証がないままとどまるのか」(ロウリー弁護士)。

しかし子どもたちの脱出劇を支援する取り組みは弾みがつき始めていた。米上院民主党のチャック・シューマー上院院内総務やキルステン・ジルブランド上院議員もロウリー弁護士に協力していた。

間もなく、アフガニスタンからの出国を支援するユダヤ教の非営利組織代表、モーシェ・マーガレッテン師も取り組みに加わった。同師はホワイトハウスなどの米政府機関と連携して必要な書類を集め、子どもたちを空港内に入れるために尽力した。

子どもたちの脱出作戦で大きな役割を果たしたのが、やはり出国しようとしていたモハンマド・アフザル・アフザリさんというアフガン人男性だった。

アフザリさんは、かつてアフガンに派遣されて一緒に働いていた米首都ワシントン在住のスコット・サドラーさんと、コロラド州在住のブレナン・ホイザーさんと連絡を取り合っていた。2人はかつて米軍の協力者だったサドラーさんの身の安全を懸念して、サドラーさんを脱出させようとしていた。

2人がスニータさんの子どもたちのことを知ってアフザリさんに知らせると、アフザリさんは自分が子どもたちの面倒を見て、米国まで付き添うと申し出た。

子どもたちは安全な地へとたどり着く最後の各ステップを写真に撮って母親に共有した。空港ゲートを通過し、空港内を移動する車に乗り、兵士に書類を提示し、ついにアフガニスタンを出国する航空機に搭乗する様子までを写真に収めた。

「あらゆる政府機関とあらゆる非営利組織、さまざまな宗教団体を通じ、あらゆる背景をもつ人たちが力を合わせて子どもたちを空港に連れて行ってくれた」とロウリー弁護士は振り返る。

母国で続く悪夢を乗り越えて米国にたどり着いた4人の子どもたちは今、母親との再会を心待ちにしている。

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