マスク氏、新党「アメリカ党」結成へ トランプ大統領とは決裂
(CNN) 米起業家のイーロン・マスク氏は5日、ドナルド・トランプ大統領との対立が深まったことを受け、第三の政党となる「アメリカ党」を新たに結成すると自身のSNS「X」で表明した。マスク氏はトランプ氏が掲げた大型減税法案が成立した場合に新党を立ち上げると警告しており、それを実行に移す形となった。
マスク氏は「国を無駄遣いと汚職で破産させる点で、わたしたちは民主主義ではなく一党制に生きている」とし、「きょう、アメリカ党はあなたたちの自由を取り戻すために結成された」と述べた。
マスク氏はトランプ氏の2024年大統領選挙で最大の個人献金者であり、政府の無駄遣いの削減を推進する側近としても知られていた。しかし、法案が財政赤字を数兆ドル膨らませると試算されたことからトランプ氏の「大きくて美しい法案」を激しく批判。これが両者の決裂の引き金となった。
新党設立に向けた法的な手続きをどの程度進めているのかは不明。結党には米連邦選挙委員会(FEC)への登録が必要となるが、FECの最新資料では登録は確認できていない。マスク氏は、財政面では保守的で、支出を抑制する政党を望んでいると示唆しているものの、詳細な政策綱領は示していない。
社会問題をめぐっては、トランプ氏と近い立場を取るものの、マスク氏は共和党の政策は債務を増大させるとして、「債務奴隷制」と呼んでいる。
米国の二大政党制は長年、民主・共和両党の支持者からも批判されてきたが、過去100年で第三の政党が成功した例は少ない。1992年の大統領選に無所属で出馬した富豪ロス・ペロー氏は得票の5分の1近くを獲得したものの、州を一つも制することはできず、選挙戦はビル・クリントン氏が制した。
専門家は、新党結成には資金面と法律面で高い壁があり、有権者や候補者も参加に慎重だとの見方を示す。