米ハリケーンの死者128人に、数百人が安否不明 「集落が地図から消えた」
(CNN) 米南部を襲った大型ハリケーン「へリーン」による洪水で、9月30日までに6州で128人の死亡が確認された。被災地で捜索救助活動が続く中、犠牲者はさらに増える見通し。
へリーンは「カテゴリー4」の非常に強い勢力で26日にフロリダ州に上陸。ほぼ200万戸で今も停電が続いている。被災地はインフラが寸断され、家族の安否が確認できないという住民は数えきれない。
最も死者が多かったノースカロライナ州では、内陸部のバンコム郡などで56人が死亡した。山に囲まれた光景が美しいアッシュビルの町は濁流にのみ込まれた。
水が徐々に引き始めると、がれきの山と化した住宅や、破壊された建物、横転した車が姿を現した。
アッシュビルのマンハイマー市長は30日、「電線はまるでスパゲティのように見える。これほどの混乱状態は形容しようがない。まさに世界滅亡のような光景だ」と語った。
飲料水や食料は不足し、携帯電話はつながらず、停電も続いている。行方不明者は数百人に上っているが、通信手段が悪く安否は確認できていない。
バンコム郡には30日午前、大型トラック3台の給水車が到着したが、住民1日あたり1日分にしかならなかった。
道路や橋の損壊も激しく、支援物資の搬入や捜索救助活動を妨げている。ノースカロライナ州のクーパー知事は「数百本の道路が破壊され、集落が地図からかき消された」と語った。
マンハイマー市長は「死者が増えることは分かっている」「中にまだ人のいる家が川に押し流されるのを見たという証言もある」と話している。
ほかにもサウスカロライナ州で少なくとも30人、ジョージア州で25人、フロリダ州で11人、テネシー州で4人、バージニア州で2人が死亡している。