米中間選挙 楽観ムードも漂う共和党、上院奪還に総力

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米中間選挙も投開票まで1週間を切り終盤に入った/Cheney Orr/Bloomberg/Getty Images

米中間選挙も投開票まで1週間を切り終盤に入った/Cheney Orr/Bloomberg/Getty Images

(CNN) 秋の選挙戦も大詰めを迎え、共和党には楽観ムードが漂いつつある。重要な上院の議席が射程距離に入ってきた兆候も見える中、下院で確実に過半数を取れるとの確信が高まり、党幹部が数週間前に想像していたよりも深く民主党の牙城に切り込んでいる。

カリフォルニア州からコネチカット州まで、激しい下院争いを繰り広げる民主党候補者は、有権者から押し寄せる不満に大慌てで対処している。経済やインフレや犯罪に対する不満の渦は、ジョー・バイデン大統領1期目の後半で勢力図を塗り替えかねない。

真っ二つに割れる中間選挙が共和党との政策や立場の違いを明確に示すことなく、バイデン政権に対する国民投票という形で終わる場合、民主党は、政界の秩序が様変わりしうる厳しい選挙日を迎えることも想定している。

支持率が伸び悩んでいることもあり、バイデン大統領は今週、上院選の最激戦州から遠く離れた地域で遊説を予定している。バイデン氏は、共和党が下院で、さらに上院でも過半数を握った場合どうなるかを考えて、慎重な選択をするよう国民に訴えた。

先週末デラウェア州で期日前投票を終えたバイデン氏は「これは根幹を揺るがす重要な選択だ。国の将来について全く異なる2つの見方から、どちらかを選択する」と述べた。

問題は、2年前にバイデン氏を支持した有権者の中にさえ、大統領のメッセージに耳を傾ける者が少しでもいるのかどうかだ。

民主党は、メッセージを広めて支持基盤を活性化しようと、バラク・オバマ元大統領を頼りにしている。オバマ氏は先週末、ジョージア州、ミシガン州、ウィスコンシン州で辛辣(しんらつ)に最後の演説を締めくくった。

オバマ氏は「今現在の現実的な問題はインフレだ」と言い、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のあおりで世界中が経済的困難に見舞われていることを指摘した。「皆さんはこう問うべきだ、実際にこの問題に対処してくれるのは誰なのか。共和党も散々口にしているが、彼らはどんな答えを用意しているのか」

共和党が下院奪還をうかがい、ホワイトハウスもそうした結末に向けてひそかに準備を始めているが、選挙日まで数日となり、上院の過半数争いも熾烈(しれつ)を極めている。

ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州の民主党の現職上院議員が共和党候補者との激戦で守勢に立たされる一方、共和党はペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ノースカロライナ州での議席確保に向けていっそう強気な態度に出ている。共和党が上院で過半数を獲得するためには、たった1議席増やせばいい。

全米共和党上院委員会の委員長を務めるリック・スコット上院議員(フロリダ州選出)は先ごろ、CNNに「今年は我々の年だ」と語り、共和党の獲得議席は「52議席以上」になるだろうと予測した。

共和党関係者やストラテジストがCNNに語っているように、これら激戦州のいくつかでは大きな不確定要素が持ち上がっている。はたして有権者は知事選と上院選で違う政党に投票するのか、それとも知事選に引っ張られて上院選の候補者も当選を果たせるのだろうか。

ジョージア州では、共和党は、現職のブライアン・ケンプ知事(共和党)の再選がほぼ手堅いことに勢いを得て、上院選に出馬しているハーシェル・ウォーカー候補(共和党)について楽観的な見方を示している。現職のラファエル・ウォーノック上院議員(民主党)とウォーカー氏のいずれも50%以上の得票数を得られなかった場合、上院選の勝敗の行方は12月6日の決選投票に持ち込まれる。

オハイオ州でも、再選をかけたマイク・デワイン知事(共和党)が対立候補を大きくリードしているため、共和党関係者はJ・D・バンス候補(共和党)とティム・ライアン下院議員(民主党)の対決についてそれほど心配しているようすはない。

アリゾナ州では、共和党関係者も、上院選でブレイク・マスターズ候補(共和党)がマーク・ケリー上院議員(民主党)と接戦になることはないだろうと認めている。接戦になるのは、知事選でケイティ・ホッブス候補(民主党)と激しい選挙戦を繰り広げるカリ・レーク候補(共和党)が保守層を刺激した場合だろう。

試金石となる事例は、まさに今ペンシルベニア州で繰り広げられている。知事選に出馬しているジョシュ・シャピロ州司法長官(民主党)は、共和党幹部にすっかり見放されたダグ・マストリアーノ候補(共和党)を大きく引き離している。

シャピロ氏が上院選のジョン・フェターマン候補(民主党)を引っ張り上げることができるか、それとも有権者は政党を変えてメメット・オズ候補(共和党)に票を投じるのか。選挙当日の夜の間違いなく楽しみな問題だ。予備選ではドナルド・トランプ前大統領の推薦を受けて指名候補を勝ち取ったオズ氏は、本選ではがらりと態度を一転させ、中道の立場を取っている。

オズ氏は先週行われた討論会で、「政府は過激な姿勢で間違った方向に進んでいる」と述べ、上院では誠意と歩み寄りの姿勢で臨むと公約した。一方、フェターマン氏は、対立候補がとりわけ中絶に関して極端な立場であることを強調しようとしている。

こうした面々が上院選でとくに注目を浴びる一方、刺々しい政治情勢のため、民主党上院選の候補者はほとんど誰もが共和党の激しい攻撃から逃れることはできない。ワシントン州のパティ・マレー議員に始まって、コロラド州のマイケル・ベネット議員、ニューハンプシャー州のマギー・ハッサン議員に至るまで、そこまで激戦ではない州の現職議員も、1年前に予想していたよりも厳しい選挙戦を強いられている。

民主党上層部も、党内に厳しい経済的な向かい風が吹いているという見方を否定していない。だが今年6月に最高裁判所によって「ロー対ウェイド」の判決が覆されたのを受け、中絶の権利保護を訴えることで有権者を勢いづけられると主張している。

民主主義を守ることも依然として一部有権者を鼓舞する材料だ。名だたる共和党候補者の多くが、2020年大統領選挙の結果を否定したり、陰謀論を広めたりしている。

今週、フロリダ州、ニューメキシコ州、メリーランド州、ペンシルベニア州を遊説する予定のバイデン大統領にとって、今月8日の選挙日はデラウェア州で初当選してからちょうど50年目に当たる。1972年以来、大統領は最前列で選挙の酸いも甘いも見てきたが、過去の事例は必ずといっていいほど政権与党には不利だ。

「アメリカン・プレジデンシー・プロジェクト」によると、大統領が所属する政党は第2次世界大戦以降、就任後最初の中間選挙で平均28議席を落としている。現在、民主党が下院で抱えるリードはわずか5議席。過去の事例にわずかながら抵抗したとしても、下院で過半数を失いかねない。

トランプ氏が2020年の敗北を覆そうと試み、選挙の正当性について根拠のない疑念を持ち出して以来初めての全国選挙で、過去の事例がどれほど当てになるのかは疑問の余地が残るところだ。

すでに46州で約2100万人の米国人が投票を済ませた中、民主党の政府関係者や議員らは、共和党の勢いをそぐためにも残りの日数で選挙の流れを変えることが喫緊の課題だと認めている。

バイデン氏は21日夜にペンシルベニア州で演説し、今回の選挙の争点を詳しく語り、お茶を濁すことなくこう言い切った。「この先10年、あるいはその先の国のあり方を形成することになるだろう。冗談ではなく」

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