ウクライナ生まれの米共和党議員、祖国の政府を痛烈批判 同僚から「乱暴者」と苦言も

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ウクライナ生まれながら同国政府を厳しく糾弾し続ける米共和党のV・スパーツ下院議員/Jacquelyn Martin/AP

ウクライナ生まれながら同国政府を厳しく糾弾し続ける米共和党のV・スパーツ下院議員/Jacquelyn Martin/AP

(CNN) 米国の超党派の議員グループが今年3月にウクライナ国境を訪問した際、思いもかけないゲストが姿を現した。共和党のビクトリア・スパーツ下院議員(インディアナ州選出)だ。

スパーツ氏は米連邦議会初のウクライナ生まれの議員で、歯に衣着せぬ発言を通じて祖国を擁護する。この時の議員団への参加について関心を表明していたものの、招待はされていなかった。議員団の構成は下院外交委員会が中心で、スパーツ氏は同委の所属ではないためだ。

そこで同氏は自腹でポーランドに渡航。ウクライナとの国境で議員団に合流し、現地での会合の一部に加わった。事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。

事前に伝えられていなかったスパーツ氏の参加は議員らを驚かせたが、当初は歓迎ムードだった。議員らはウクライナのため、西側諸国から支援を集めようとしていた。同国は1週間前からロシアによる残虐な攻撃にさらされていた。

ところがウクライナ訪問に参加した複数の議員らによると、スパーツ氏の「論争的」で「非難めいた」姿勢は、北大西洋条約機構(NATO)の関係者らを交えた会合にとって「無益」だった。その場にいることがむしろ有害ではないかという懸念も浮上したという。

共和党議員の1人は当時のスパーツ氏について、「我々議員代表団をぶち壊した。物事を台無しにする乱暴者といった感じだった」「鬱積(うっせき)した不満があったのか、正しい情報が十分得られていないと感じていたのか、それは分からないが、とにかく非難がましく無礼な態度だった」と振り返った。同僚議員に対してより自由に発言するため、また話題の性質が繊細なものであることを念頭に、この議員は他の議員と同様に匿名を条件に取材に応じた。

スパーツ氏はCNNに宛てた電子メールで匿名の批判に反論。「こうした非難は卑劣で、事実を正しく説明していない。一部の妬(ねた)み深い議員やスタッフによるものだ。極めて実りある活動を超党派で行ったのが、3月の議員代表団だった」と述べた。

スパーツ氏の言動への党派を超えた不満は、これだけで終わらなかった。戦争開始からおよそ6カ月の間、スパーツ氏はウクライナ政府に対する公の批判を継続。同国政府並びにゼレンスキー大統領の最側近らが絡むとされる汚職疑惑を広めている。これに対して同僚議員らからは、親ロシア派の主張をそっくり代弁しているとの非難の声が噴出している。

43歳の実業家であるスパーツ氏は公私において、ウクライナに勝利してほしいとの主張を繰り返す。自分が攻撃するのはあくまでもウクライナ政府であり、それがロシアに対する勝利の妨げとなり得るあらゆる障害を取り除く一助になるとの認識を示す。侵攻開始以降、6回にわたってウクライナを訪れ、ロシアにも常に非難の声を浴びせている。2日にはツイッターに、ロシアをテロ国家と宣言するべきだとのコメントを投稿した。

それでもスパーツ氏がゼレンスキー氏とその顧問らに向ける敵意に満ちた物言いは、共和・民主両党の議員やホワイトハウスの当局者、ウクライナの国会議員を一様に苛(いら)立たせている。彼らはスパーツ氏によって、団結してウクライナを支えようとする自分たちの取り組みが台無しになるのではないかと危惧するほか、一体同氏がどこから情報を得ているのか率直に疑問を呈してもいる。そうした状況は十数人あまりの議員、側近、政権内の情報筋にインタビューした結果明らかになった。

バイデン政権による度重なる状況説明や、共和党の有力議員からの私的な嘆願にも、これまでのところスパーツ氏の声高な批判を抑え込む効果はほとんどないと、情報筋は話す。

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