米中首脳が電話会談、台湾巡り「火遊びするな」と習氏がけん制

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バイデン米大統領(左)と中国の習近平国家主席が電話会談を行った/Sarah Silbiger/Andrea Verdelli/Getty Images

バイデン米大統領(左)と中国の習近平国家主席が電話会談を行った/Sarah Silbiger/Andrea Verdelli/Getty Images

(CNN) 米中間の緊張が高まる中、バイデン米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席は28日、電話会談を行い、台湾問題について長時間にわたり意見を交わした。

米当局は台湾をめぐって中国の動きがより切迫したものになることを恐れているが、一方でペロシ米下院議長の台湾訪問の可能性が浮上したことで中国が警告を発する事態となっている。バイデン政権が対立に発展するのを防ぐための協調的努力をする中で、台湾問題は最も議論された内容の一つとなった。

両首脳は2時間17分に及ぶ電話会談で台湾問題について話し合った。中国の国営通信によると、習氏はバイデン氏に「世論に反してはならない、火遊びをすればやけどをする。米国側がこのことを明確に理解することを望む」と述べたという。

ホワイトハウスは電話会談の内容をそれほど明確には説明しておらず、「台湾について、バイデン大統領は米国の方針は不変で、現状変更や台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な取り組みには強く反対することを強調した」と述べた。

ある米政権高官は台湾問題の議論は「直接的で実直な」ものだったと説明した。ただ、習氏の警告については重要視せず、「火遊び」のリスクを警告することは中国首脳によくあることだと述べた。

両首脳の電話会談は5回目で、昨年2月以来だ。会談に先立ち、米当局は台湾をめぐる緊張から経済競争、ウクライナでの戦争まで、さまざまな話題が浮上する可能性があると述べていた。

しかし、中国との関係が実質的に改善されることへの期待は薄かった。バイデン氏の複数の側近は、習氏との個人的なつながりを維持することで、対立につながるような誤算を避けられることを望んでいる。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は今週、「バイデン大統領はたとえ考えに大きな相違があるかもしれない国々とでも意思疎通を図ることを信条としており、これはそうした種の会談だ」と述べた。

バイデン氏と習氏の電話会談の計画はペロシ氏の台北訪問をめぐる騒動より早く、数週間前から話し合われていた。バイデン氏は現在、インフレ緩和のためにトランプ時代の対中関税の一部を撤廃するかどうかも検討しているが、ホワイトハウス当局者によると、バイデン氏はまだ結論を出しておらず、この話題は習氏との会話に大きく影響しないことを示唆した。

現在の緊張の中心にあるのは、台湾や南シナ海などの地域でエスカレートしつつある中国の攻撃性だ。米当局は意思疎通のラインが開かれていなければ誤解が意図しない紛争に飛び火することを恐れている。

その中には、ペロシ氏が訪台する場合に中国がどのように対応するかも含まれる。

米政府高官は先週から密かに、訪台が潜在的に抱えるリスクについてペロシ氏を説得している。オースティン国防長官は27日、ペロシ氏に「治安情勢の評価」を提供すると伝えたと述べた。

ペロシ氏は訪台計画について何も発表しておらず、最終決定もまだだ。同氏は「訪問について話すことはない。私にとって危険なことだ」と同日語った。

しかし、大統領継承順位第3位の人物が訪台を検討しているという非公式な情報でさえ、米国トップクラスの高官の訪問を台湾との外交関係の証しと見なす中国は激しく反応した。

「米国が独自の道を歩むと主張するなら、中国軍は決して傍観することはなく、あらゆる外部勢力の干渉や分離主義者の『台湾独立』計画を阻止するため、必ず強力な行動を取り、国家主権と領土保全を断固として守る」と、中国国防省の報道官は26日にペロシ氏訪台の報道についての質疑応答で述べた。

ホワイトハウスは、こうしたコメントは「不必要」で「役に立たない」とし、「完全に不必要な方法で」緊張をエスカレートさせるだけだと述べた。

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