強姦被害の10歳児に中絶手術の医師、州の捜査対象に 米インディアナ州

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米インディアナ州のトッド・ロキタ司法長官/Bill Clark/CQ-Roll Call/Getty Images

米インディアナ州のトッド・ロキタ司法長官/Bill Clark/CQ-Roll Call/Getty Images

(CNN) 性的暴行の被害に遭った10歳の女の子に人工妊娠中絶手術をした米インディアナ州の医師が、州司法長官による捜査の対象となっている。医師側の弁護士が明らかにした。

弁護士によると、ケイトリン・バーナード医師のもとに26日、インディアナ州のトッド・ロキタ司法長官から捜査に関する通知が届いた。

キャスリーン・デラニー弁護士は「この捜査の性質も、どんな権限で司法長官がバーナード医師を捜査するのかも不明だ」としている。

CNNはロキタ司法長官にコメントを求めている。司法長官は以前、バーナード医師が人工妊娠中絶に関する報告を怠り、患者のプライバシー法に違反した可能性があるとして、捜査に乗り出すと表明していた。

米国では人工妊娠中絶の権利を連邦法上認めた「ロー対ウェイド判決」が6月の連邦最高裁判決で覆され、バーナード医師は中絶の権利をめぐる論議の渦中の人物となった。

バーナード医師はCNNの取材に対し、オハイオ州が妊娠6週目以降の中絶をほぼ全面的に禁止したことを受け、10歳の少女を助けたと説明していた。少女はこの時点で妊娠6週間と3日目だったという。インディアナ州で人工妊娠中絶手術を行ったのは、最高裁判決の数日後だった。

インディアの州法では、16歳未満の未成年に中絶手術を行った場合、3日以内に州の保健局や児童福祉局に届け出る必要がある。

CNNが入手した書類によると、バーナード医師は中絶手術を行った2日後の7月2日、規定に従ってインディアナ州保健局に届け出ていた。

バーナード医師はインディアナ大学保健校で准教授を務める。同大は今月15日の声明で、バーナード医師の全面的な協力を得て調査した結果、同医師はプライバシー法を順守していたと判断したと発表した。

少女に対する強姦(ごうかん)罪に問われたガーソン・フエンテス被告(27)は25日、オハイオ州の裁判所で開かれた公判で無罪を主張した。

バーナード医師は26日のインタビューの中で、中絶禁止法の影響で妊婦が命にかかわる危険な状況に追い込まれていると指摘した。

「国民はこうした反中絶法の影響を認識し始めている。中絶できない人たちがいることで初めて、それが自分たちの意図に反していて、子どもや女性がトラウマ的な妊娠という生命を脅かす状況に追い込まれることを、自分たちは望んでいないと気づいた」。バーナード医師はCBSのニュース番組でそう語った。

ロー対ウェイド判決が覆された影響については、予想以上に悪い状況になっていると述べ、全米で差し迫った状況にある人や、合併症あるいはトラウマ的状況のために中絶を必要としている人が、中絶手術を受けられなくなっていると指摘した。

さらに、流産した場合の処置や、死につながりかねない妊娠初期の合併症の治療、不妊治療や避妊などにも影響は及ぶとしている。

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