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米宇宙軍で初、新兵訓練のブートキャンプに密着 CNN EXCLUSIVE

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宇宙軍の新兵訓練に密着

(CNN) 米宇宙軍がこのほど重要な節目に到達した。発足当初に採用された新兵を対象に、宇宙軍独自の基礎訓練が初めて行われたのだ。

サンアントニオ統合基地での訓練の38日目。夜が明けるとスピーカーから起床ラッパの音が鳴り響き、軍曹が叫ぶ声が聞こえてきた。「世界で最も偉大な宇宙軍に加わる用意はいいか? ほら急げ! 行け、行け」

陸軍や海軍、海兵隊、空軍向けの新兵基礎訓練と変わらない光景、そして物音のように思える。だが、この基礎訓練に参加している新兵71人は全員「ガーディアン(守護者)」、すなわち米軍で70年以上ぶりの新軍種である宇宙軍の一員だ。

これまで、新人ガーディアンは空軍兵と一緒に空軍の基礎訓練プログラムで鍛えられてきた。今回のブートキャンプが特徴的なのは、ガーディアンのみを対象にした初の基礎訓練であり、宇宙を中心に据えたカリキュラムを教える宇宙軍の教官によって全ての指導が行われている点だ。

ただ、宇宙軍初の軍事訓練教官を務めるエリック・ミストロット曹長は急いで「それでも宇宙軍は武器を扱う職であって、米軍の一部だ。これは宇宙キャンプではない」と指摘した。

ミストロット氏は7週間半に及ぶ訓練の期間中、新人ガーディアンの訓練をすべて仕切っている。

ガーディアンのシリア・ハリスさん(21)はCNNの取材に「私は空軍一家の出身なので、宇宙軍が誕生したとき、大半の人は『なにそれ。本当なの?』という反応だった」と振り返った。

この基礎訓練と他のブートキャンプの違いは座学にある。ガーディアンは宇宙軍に特化した新たなカリキュラムを受け、宇宙の歴史から宇宙用語まであらゆる事柄を教わる。

「私がL、E、Oのスペルでリーオーと言えば、それは低軌道(Low Earth Orbit)を意味する」。ミストロット氏は取材にそう解説してくれた。

今回のブートキャンプに参加しているガーディアンで、実際に宇宙に行くために訓練している人はいない。代わりに、地上から米軍の衛星を運用したり、中国やロシアのような国の衛星を分析したりする任務に就く。

ガーディアンのアブバッカル・シディクさん(22)は「戦車や弾道学のようなものは一切扱わない。小さなコンピューター画面の細かな表示とにらめっこする仕事だ」と語った。

宇宙軍は異なるタイプの兵士であり、目を酷使し、筋肉よりも頭を使うことが必要になる。そのため今回の基礎訓練でもう一つ大きく違う点、つまり核となる価値観の問題が出てくる。

宇宙軍の核となる価値観についての授業中、軍曹がガーディアンの1人に「君にとって勇気と何か」と質問する場面があった。そのガーディアンは「勇気とは必要なときに助けを求めることだと思います」と答えた。

これは現代の軍隊らしい考え方といえる。

「新兵は神を信じているかもしれないし、信じていないかもしれない。周りから離れて少し瞑想(めいそう)する時間が必要な人もいるかもしれない。何であれ、我々はガーディアンには強く健康であってほしいと考えている」。こう話すのは宇宙軍のタラ・シーア中佐だ。「多様性と包摂性の側面から、我々は新兵に宇宙軍でそれを表現できる、本当の自分を表現できると感じてほしいと考えている」

前出のハリスさんは「ここへ来るとき、多くの人から『黒人の女の子は1人だけだろうね』と言われたが、私のような外見のチームメートがあと2人もいる」とコメント。自分自身については、「月の自転のライブ映像」を見るのが好きな一種の「宇宙オタク」と評した。

新たな戦争の領域を守り、形作るために宇宙軍が必要としているのは、まさにこのような宇宙オタクなのだろう。

「宇宙軍独自の基礎訓練が必要なのは、宇宙軍が独立した軍種になったから。我々は独立したのだから、空軍の影にとどまっていてはいけない」(ハリスさん)

ハリスさんと他の70人のガーディアンは6月22~23日、宇宙軍初の基礎軍事訓練を修了する見通しだ。

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