米欧で相次ぐ「サル痘」の感染報告、米CDC「現時点で心配は不要」

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2003年にプレーリードッグから感染した患者から採取されたサル痘のウイルス粒子の顕微鏡画像/Cynthia S. Goldsmith, Russell Regner/CDC/AP

2003年にプレーリードッグから感染した患者から採取されたサル痘のウイルス粒子の顕微鏡画像/Cynthia S. Goldsmith, Russell Regner/CDC/AP

(CNN) 天然痘に似た症状の感染症「サル痘」の症例が米国や欧州で相次いで確認され、米疾病対策センター(CDC)が状況を注視している。

CDCは、感染した疑いのある米国内の6人について経過観察を続けていることを明らかにした。この6人は、5月初旬にナイジェリア発英国行きの旅客機で、症状のある感染者に近い座席に座っていた。

これとは別に、米マサチューセッツ州ではカナダへの渡航歴のある男性1人のサル痘感染が確認された。ニューヨーク市衛生局は19日、市内の病院に入院している患者に感染の可能性があり、検査を行っていると発表した。

世界ではカナダ、英国、イタリア、北アイルランド、スペインなど、普段はサル痘の症例が報告されていない国で感染の確認が相次いでいる。

「現状は極めて異常な状況にあり、科学的に憂慮される水準だ。サル痘は通常であれば西アフリカか中央アフリカでしか報告されず、米国や欧州では見かけない。現在報告されている症例数は、間違いなく我々の正常な水準を逸脱している」。CDCの専門家ジェニファー・マッキストン氏は19日、CNNにそう語った。

「同時に、現実にはそれほど多くの症例は報告されていない。十数例か、数十例だと思う。従って一般の人は、サル痘の差し迫った感染リスクについて心配する必要はない」(マッキストン氏)

CDCによると、現在経過観察を続けている6人は全員が健康で、症状はなく、サル痘のリスクは低いとみられている。いずれも感染者の隣に座っていたわけではなく、直接的な接触もなかったという。

CDCは、サル痘の患者の診療にあたる医療従事者や、感染リスクが高いとみなされた人に天然痘のワクチンを接種すべきかどうかの検討に入った。数日中に勧告を出す見通し。

天然痘ウイルスとサル痘のウイルスは、いずれもポックスウイルス科のオルソポックスウイルス属に分類される。このため天然痘予防のワクチンの中には、サル痘を予防する効果が実証されているものもある。サル痘は天然痘に比べると感染力は低く、重症化もしにくい。

ワクチンの蓄えはあり、必要があれば使用できる状態にあるとマッキストン氏は説明、今回の流行が起きた原因についてはまだ調査が始まったばかりだが、世界の複数の場所で症例が報告されていることを考えると、数週間前から流行が始まっていたようだと指摘した。

サル痘は飛沫(ひまつ)や体液、皮膚の病変などを通じて感染し、発熱や頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れなどの症状を伴うことがある。特徴的な症状として、手のひらや足の裏などに皮膚の病変や発疹が出ることがある。

英国とカナダの保健当局によれば、サル痘の症例の多くは男性と性的関係を持った男性の間で確認されている。ただ、サル痘は一般的に性感染症には分類されておらず、最近の症例については調査が進められている。

サル痘が発見されたのは1958年。CDCによると、実験用に飼育されていたサルの間で天然痘のような疾患の小規模な集団感染が発生したことから、サル痘と命名された。人の症例は70年、天然痘撲滅に力を入れていたコンゴ民主共和国(旧ザイール)で報告された。

米国で前回サル痘の感染が報告されたのは2003年で、感染または感染の疑いのある症例47例が6州で報告された。感染者はいずれも、ペットのプレーリードッグと接触した後に感染していたことが、CDCの調査で判明した。

米政府のビベック・マーシー医務総監は19日、一般の人が現時点でサル痘について心配する必要はないとしながらも、その症状や、どんな時に受診すべきかについては認識しておく必要があるとした。

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