冤罪訴え続けた男性、43年ぶり釈放の可能性 検察官も無罪支持 米ミズーリ州

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無実を訴えながら43年間服役してきたケビン・ストリックランド受刑者/James Wooldridge/The Kansas City Star/AP

無実を訴えながら43年間服役してきたケビン・ストリックランド受刑者/James Wooldridge/The Kansas City Star/AP

(CNN) 1978年に起きた殺人事件で有罪を言い渡されて服役し、無罪を主張し続けてきたミズーリ州の男性が、3日間にわたって行われた口頭弁論で証言に立った。検察官も男性の主張を支持しており、43年ぶりの釈放がかなう可能性もある。

ミズーリ州キャメロンの刑務所で43年間にわたって服役してきたケビン・ストリックランド受刑者(62)は、3人が射殺された事件で有罪を宣告され、仮釈放なしの禁錮50年の実刑を言い渡された。

しかしストリックランド受刑者は一貫して無罪を訴え続け、同州ジャクソン郡のジーン・ピーターズ・ベイカー検察官も同受刑者の主張に同意した。

CNN提携局KSHBによると、事件は78年4月25日に同州カンザスシティーで発生、4人が銃撃されて3人が死亡した。唯一生き残った被害者のシンシア・ダグラスさん(2015年に死亡)は同年、この殺人現場にストリックランド受刑者がいたと証言した。

自身も負傷したダグラスさんは警察の調べに対して当初、銃撃犯として別の2人の名を挙げたが、知人のストリックランド受刑者については確認していなかった。

しかし翌日になって、自分が現場で見た銃撃犯の特徴と、ストリックランド受刑者の毛髪が一致したと知らされて、現場にいたのはストリックランド受刑者だったと証言。当初ストリックランド受刑者だと分からなかったのは、コニャックとマリフアナを使用していたためだと主張したという。

しかしダグラスさんはその後30年以上にわたって、現場にいたのがストリックランド受刑者だったという自分の証言は誤りだったと訴え続け、ストリックランド受刑者の冤罪(えんざい)を訴える運動を通じて釈放を働きかけていた。

ダグラスさんが銃撃犯だと証言した別の2人の男は、それぞれ罪状を認めて約10年の禁錮を言い渡された。

この事件についてピーターズ・ベイカー検事は8月にネット上で発表した声明の中で、「ケビン・ストリックランドは、公正であるはずの制度が恐ろしく誤った場合に何が起きるのかという実例を見せつけた」と指摘した。

8日に開かれた証拠調べの口頭弁論では目撃者が宣誓証言に立ち、ストリックランド受刑者側の弁護団が証拠を提出して同受刑者の無罪を主張。同受刑者自身も証言した。

CNN提携局KCTVによると、ストリックランド受刑者は法廷で、「私は自分が絶対にかかわっていない犯罪で罪状を認めるつもりはなかった」と証言。「18歳だった私は、制度が機能していると知っていた。だから疑いは晴れると知っていて、自分が犯していない罪のために有罪になるとは思わなかった。自分がやっていないことを認めて司法取引に応じたりはしなかった」と語った。

口頭弁論は10日に結審し、裁判官は適切なタイミングで判決を言い渡す意向を示したという。

米国家冤罪統計によると、もしストリックランド受刑者の釈放が実現した場合、冤罪で服役した期間としてはミズーリ州史上最長、米国では4番目の長さになる。

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