虚偽通報で保安官を起訴、新聞配達の黒人男性が「殺すと脅した」 米

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エド・トロイヤー保安官=2020年2月/Ted S. Warren/AP/FILE

エド・トロイヤー保安官=2020年2月/Ted S. Warren/AP/FILE

(CNN) 米ワシントン州の保安官が新聞配達をしていた黒人男性を尾行し、この男性に殺すと脅されたという虚偽の主張で警官数十人を出動させたとして、虚偽通報などの罪で起訴された。同州の検察当局が19日に発表した。

ワシントン州のボブ・ファーガソン司法長官事務所によると、同州ピアース郡のエド・トロイヤー保安官は、虚偽通報罪と、公職者に対して虚偽または誤解を招くような発言をした罪に問われ、ピアース郡地方裁判所に起訴された。

これに対してトロイヤー保安官は声明を発表し、司法長官が今回の起訴について自分や自分の弁護士に知らせる前に記者発表を行ったと主張。「あの事件の夜、私はこれまで何十年もそうしてきたように、犯罪の可能性のある行為について捜査していた。近隣住民や私はそれまでに何度も窃盗事件の被害に遭っていた」と述べ、起訴は政治的動機に基づいていると訴えた。

ワシントン州のジェイ・インスリー知事は今年4月、州司法長官に捜査を指示したと発表していた。

司法長官事務所によると、問題の事件は1月27日に発生。新聞配達をしていた黒人男性のセドリック・アルサイマーさんは、白いSUV(スポーツ用多目的車)に尾行されているらしいことに気づいたと証言している。後にこの車にはトロイヤー保安官が乗っていたことが分かった。

アルサイマーさんは新聞を配るために民家の前で自分の車を止め、尾行の理由を尋ねるためにSUVに近寄って、自分は「黒人だから」尾行されているのかとトロイヤー保安官に尋ねた。

トロイヤー保安官は、自分の身分を明かさないまま、自分の妻も黒人だとアルサイマーさんに告げ、アルサイマーさんを窃盗犯と疑って問い詰めたとされる。

アルサイマーさんが自分の車に戻って発進させるとトロイヤー保安官が再び尾行を始めたため、アルサイマーさんは方向転換して道路の真ん中で車を止め、接近してくるトロイヤー保安官の車の写真を撮り始めた。

トロイヤー保安官は緊急通報の警官専用ダイヤルに電話して、「自分を殺すと脅した相手がいる」と通報。交換手は最優先で対応し、40人以上の警官が現場に向かって急行した。

最初に到着した警官は、2台の車が道路の真ん中に止まっている現場を見て、それほど多くの部隊が出動する必要はないと交換手に知らせた。アルサイマーさんは警官に、トロイヤー保安官に後をつけられていると訴えた。

トロイヤー保安官は別の警官に、アルサイマーさんに脅されたことはなく、武器も見なかったと説明。その後、もし新聞配達人であれば拘束する必要はないと付け加えた。

トロイヤー保安官が有罪を言い渡された場合、364日以下の禁錮と5000ドル(約57万円)以下の罰金を言い渡される可能性がある。

アルサイマーさんの弁護士は、トロイヤー保安官が起訴されたことを評価し、「アルサイマーさんがこの困難を生き延びたのは奇跡だった」とコメントした。

アルサイマーさん側は6月、この事件で「重大な精神的苦痛」を受けたとして、少なくとも500万ドル(約5億7000万円)の損害賠償を求める訴えを起こしている。

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