米FDA諮問委、モデルナ製ワクチンの緊急使用許可を勧告 一部消極的な委員も

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医療センターで保管された米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン=5月13日、米カリフォルニア州ロサンゼルス/Jay L. Clendenin/Los Angeles Times/Getty Images

医療センターで保管された米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン=5月13日、米カリフォルニア州ロサンゼルス/Jay L. Clendenin/Los Angeles Times/Getty Images

(CNN) 米食品医薬品局(FDA)のワクチン諮問委員会は14日、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、ブースター(追加)接種の緊急使用許可を全会一致で勧告した。ただし一部の委員は明らかに消極的な姿勢だった。

FDAの第三者委員会「ワクチン・関連生物製剤諮問委員会(VRBPAC)」は、最初の接種から半年以上経過した人に対するブースター接種について、65歳以上などに対象を限定したうえで、安全かつ有効との見解で一致した。

モデルナはワクチンのブースター接種について、1~2回目の半量に当たる50マイクログラムの投与を認めるよう、FDAに緊急使用許可を申請していた。

委員は19人全員が、2回目の接種から半年以上が経過した人に対する50マイクログラムのブースター接種について、緊急使用許可を支持した。対象となるのは65歳以上の高齢者と、18~64歳で新型コロナの重症化リスクが高い人、および18~64歳で職場などで新型コロナの合併症や重症化リスクにさらされる環境にいる人など。

米国ではファイザー製ワクチンの追加接種についても、既に同様の条件で追加接種が認められている。

ただし委員からは、追加接種の必要性や、追加接種によって抗体値が高まることを裏付けるデータが不十分で、完全には納得できないという意見もあった。

「データは完璧ではない。だがこのような異常時なので、不完全なデータで対応しなければならない」。医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの編集長で米ハーバード大学公衆衛生校教授のエリック・ルービン氏はそう指摘した。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授のスタンリー・パールマン氏は「たとえ症状は出ないまでも、医療従事者を陽性にさせたり感染させたりするわけにはいかず、仕事を休んで自宅で待機させる余裕もない。なぜならこの国には医療従事者が不足している地域があり、至る所で燃え尽きが起きているからだ」と語った。

諮問委員会は15日も会合を開き、ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの追加接種に関する採決と、ワクチンの混合接種に関するプレゼンテーションが行われる見通し。

FDAは同委員会の勧告を受け、承認するかどうかを最終的に判断する。

ブースター接種については米疾病対策センター(CDC)の「予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)」が21日に開く会合で協議する。

14日の委員会では採決後、対象年齢を若い層にまで広げることを勧告するかどうかをめぐり、委員が意見を求められた。

ワクチン教育センター所長でフィラデルフィア子ども病院の小児科教授、ポール・オフィット氏は、「対象年齢を18歳まで引き下げることには全く同意しない」と強調した。

同氏は「わが国がデルタ変異株を切り抜ける上で、全年齢層について、中等症や重症の症状を防ぐ素晴らしい効果が続いているという事実には感銘を受ける」としたうえで、「我々はブレークスルーといった用語を使い、3回目の接種を受けるまでは守られないかのように国民に感じさせることによって、間違ったメッセージを発進し続けていると私は思う」と付け加え、「我々が一律のブースター接種という考え方によって、ある意味で一線を踏み外してしまったことに不快感を覚える」とした。

米国立衛生研究所のマイケル・クリラ氏も同じ意見で、「ブースター接種に関する普及啓発キャンペーンが必要だとは思わない」と語った。

数人の委員からは、本当に必要なのはブースター接種よりも、まだ1回もワクチンを接種していない人に接種を受けさせることの方だという意見も出た。

FDAがモデルナ製ワクチンについてブースター接種の緊急使用許可を承認すれば、CDCのワクチン諮問委員会が会合を開いて勧告するかどうかを判断する。一般的にはCDC所長が勧告に署名した後に接種が開始される。

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