ワクチン接種後もブレークスルー感染でウイルス拡散の可能性 米CDC

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地域医療センターの治療テントで従事する看護師=米フロリダ州メルボルン/Paul Hennessy/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

地域医療センターの治療テントで従事する看護師=米フロリダ州メルボルン/Paul Hennessy/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

(CNN) 米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は5日、新型コロナウイルスのワクチンについて、接種を完了した人でも新型コロナウイルスにブレークスルー感染(接種後の感染)をした場合にはウイルスを人に感染させることがあるとの見解を示した。

ワレンスキー所長は「我々のワクチンは素晴らしくうまくいっている」と強調した上で、世界で猛威を振るっているデルタ変異ウイルスに対するワクチン効果については「引き続きデルタによく効いている。重症化や死亡に関しては防止できる。だが、もはや感染を防ぐことはできなくなった」と指摘した。

ワレンスキー所長によると、CDCが先週、マスク着用に関するガイドラインを変更し、接種を済ませた人に対しても再び屋内でのマスク着用を義務付けたのは、それが理由だった。

CDCが先週発表した研究結果によれば、デルタ変異株はいったん感染すれば、ワクチンを接種した人でも未接種の人でも同量のウイルスを発生させることが判明。ワクチン接種後にブレークスルー感染した人は、未接種の人と同じように、ウイルスを拡散させる可能性があることが分かった。

ワレンスキー所長は「もしも家にワクチンを接種していない人や、接種できない人、免疫抑制状態にある人、やや弱っている人、危険が高い併存疾患を持つ人がいる場合、屋内の公共の場でマスクを着用してほしい」と呼びかけている。

米国ではデルタ株が原因で新型コロナウイルスの症例数が急増しており、ワクチンを接種してマスクを着用する国民が増えなければ、この冬のように1日の症例数が数十万に達する事態になりかねないとワレンスキー所長は危惧する。

ワレンスキー所長は、フロリダやルイジアナなど南部の州では症例数が飛躍的に増えているが、まだピークには達していないとの見方を示した。

ワクチンを接種する人が増えれば、今回の急増を抑える助けになるだけでなく、いずれもっと危険な変異株が台頭する事態を防ぐ助けにもなると専門家は話している。

トランプ前政権で新型コロナ検査を主導したブレット・ギロイル氏はCNNに「次の変異株はすぐそこまで来ている。もし誰もがワクチンを接種しない場合は」と危機感を示し、「このウイルスに打ち勝つためには、全員の免疫レベルを上げなければならない」と力説した。

CDCの統計によると、米国民の約58.2%は少なくとも1回のワクチン接種を済ませ、約49.9%は完全接種を済ませている。

5日にはホワイトハウス高官が、接種回数の1日あたりの報告数が過去1カ月あまりで最も多かったとツイートした。それによると、この前日は、1回目の接種を受けた約58万5000人を含め、86万4000回を超す接種が報告されたという。

CDC元所長のトム・フリーデン氏は4日、今後数週間のうちにワクチン接種率が低い地域だけでなく、米全土で症例数が急増するだろうと語った。ただ、ワクチン接種率が高い地域ではそれほど爆発的な感染の拡大は起きないと予想している。

症例数の増加に伴い、入院者数や死者数も増える見通しだ。CDCは4日の時点で、8月28日までに計62万4000~64万2000人の死亡が報告されると予想している。

本記事でCDCのワレンスキー所長が新型コロナウイルスの感染をもはや防げないと言った点について、接種を完了した人でブレークスルー感染をした場合に言及していたことを明確にするため、内容を更新しました。

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