銃の購入に踏み切るアジア系米国人、相次ぐ暴力に自衛を模索

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相次ぐ暴力事件を受け、初めての銃購入に踏み切るアジア系米国人が増えている/Bing Guan/Reuters

相次ぐ暴力事件を受け、初めての銃購入に踏み切るアジア系米国人が増えている/Bing Guan/Reuters

(CNN) 全米でアジア系住民を狙った暴行事件が相次ぐ中で、一部の住民が不安に駆られて初めての銃購入に踏み切っている。これに対し、銃は解決策にはならないと訴える声もある。

「銃が私たちの安全を守ってくれないことを、私は身をもって知っている」。銃暴力防止を訴える草の根団体代表のポー・マリー氏はそう語った。

マリー氏などアジア系米国人活動家は、アジア系住民が安心感を求めて銃を購入していることに懸念を強めている。一方で、アジア系住民に拳銃の扱い方や射撃方法を教える団体も創設された。

全米でアジア・太平洋諸島系(AAPI)住民に対する暴力や嫌がらせが続く中、銃を持つことへの関心は高まっている。

警察によると、ニューヨーク市では2日、マンハッタンを歩いていた女性2人にハンマーを振り回す男が近付いた。先週は50代の女性1人と10代の1人が襲われた。

同市では今年に入ってアジア系への偏見に根差す犯罪が増え、米ニューヨーク市警の統計によれば、今年初めから5月2日までに報告されたヘイトクライム(憎悪犯罪)は80件に上る。

ミズーリ州のアジア系米国人団体創設者で代表を務めるキャロライン・ファン氏は、地元のアジア系住民から銃の安全講習会を探す手助けを依頼されるようになったという。「銃のおかげで私たちが安全になるとは思わない。不安は分かるが、私たちの社会では別の手段を見つけてほしい」と同氏は訴える。

関係者によると、銃の扱い方や適切な保管方法に関する十分な訓練を受けていない人にとって、リスクは大きい。

15歳だったマイク・ソンさんの息子のイーサン君は2018年、コネティカット州ギルフォードの近所の住民の自宅で、安全な状態で保管されていなかった銃で誤って自分を撃ち、死亡した。ソンさんは、自分の家や商店などを守るためには、セキュリティーシステムを導入するといった別の方法を検討するよう促している。

アジア系米国人の銃購入に関する公式統計は存在しないものの、業界団体によれば、米国人の銃購入は昨年急増し、「前例のないレベル」で増え続けている。

全米スポーツ射撃団体によれば、米連邦捜査局(FBI)が先月実施した銃関連の身元調査は350万件を超えた。このうち約170万件は銃の購入を目的とする身元調査だった。

銃の権利を擁護するクリス・チェン氏には、初めての銃を購入したいというアジア系米国人から電子メールやSNSのメッセージ経由で質問が殺到しているという。

チェン氏によれば、自分の身はまず自分で守りたいと考え、警官が常にその場にいて助けてくれるとは限らないと考えるアジア系米国人は増えているという。

先月には安全で責任ある銃所持を強調して、AAPIの銃愛好家団体が創設された。

創設者の1人、ビンセント・ユー氏は、ジョージア州アトランタのスパで起きた銃撃事件やアジア系に対する暴行事件をきっかけに、同団体に加入したと話す。

別の創設者、スコット・ケーン氏が同団体の結成を思い立ったのは、カリフォルニア州サンフランシスコベイエリアの通りを家族で歩いていた時に、アジア系の妻と娘がピックアップトラックで通りかかった男たちの集団に暴言を吐かれて唾を吐きかけられたことがきっかけだった。

「自衛の手段を検討し始めて、結果的に初めての銃の購入に至った」とケーン氏は言い、同団体では「その重要な第1歩を踏み出す前に、全ての適切な情報」を提供したいと話している。

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