米国の平均余命、1歳縮む 昨年上期の推計値

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米ボルチモアの病院の遺体安置所でコロナ陽性疑いの遺体受け入れ準備をする葬儀場職員/Andrew Reynolds/AFP/Getty Images

米ボルチモアの病院の遺体安置所でコロナ陽性疑いの遺体受け入れ準備をする葬儀場職員/Andrew Reynolds/AFP/Getty Images

(CNN) 2020年上半期の米国の平均余命が1歳縮んだことが、米疾病対策センター(CDC)の18日発表の報告書でわかった。専門家からは新型コロナウイルス感染症(Covid―19)が大きな影響を及ぼしたとの見方が出ている。

平均余命は77.8歳となり、2006年と同水準となった。

平均余命の短縮幅は人種や民族の間で差がある。非ヒスパニック系の黒人は前年と比べ2.7歳短くなり、これは非ヒスパニック系白人の約3倍にあたる。ヒスパニック系は1.9歳縮み、非ヒスパニック系白人の2倍となった。

白人と黒人の平均余命の差は近年縮まっていたが、昨年はそれが少し逆戻りした形となる。

過去40年間で平均余命は少しずつ伸び、減少することはまれだった。ただ、処方鎮痛剤「オピオイド」の乱用がピークを迎えた2014~17年は3分の1歳縮む結果となっていた。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は米国の人口に大きな影響を与えている。約49万人が死亡し、2020年の超過死亡数はそれをさらに上回ったとCDCは推計する。

南カリフォルニア大学のエイリーン・クリミンズ教授は「1年の平均余命の喪失といっても、それがどれほど深刻な意味を持つのか伝わらない。寿命が何百万年分も実際に失われたということだ」「新型コロナウイルス感染症はがんや心臓疾患より多くの死者を出す方向に向かっている」と説明する。

年齢別では、新型コロナによる死者は高齢者に多く、平均余命への影響は小さいようにも思える。

だが、同大研究者のテレサ・アンドラスフェイ氏は、若者の死者の割合は少ないかもしれないが数自体は大きいと指摘。「若者が失う生涯の年数はより大きいため、その死は平均余命に大きな影響を及ぼす」と語る。

黒人やヒスパニック系の人々が短縮幅が大きいのは、新型コロナウイルス感染症が有色人種のコミュニティーにより大きな影響を与えたことと重なる。CDCの最新データによると、非ヒスパニック系の黒人やヒスパニック系の人々は、非ヒスパニック系の白人に比べて新型コロナで死亡する確率が約2倍高い。

アンドラスフェイ氏は「パンデミックの当初、このウイルスは皆に等しく影響を与えると思っていた」「健康面の格差が長年存在していることは気づいていたが、黒人や中南米系のコミュニティーに偏って影響が出たのをみてそれを思い知らされた」と語る。

今回発表の平均余命の推計値は、CDCが初めて死亡証明書からの暫定データを使ってまとめられたもの。死者数は1~6月の値に基づくため、昨年1年間のコロナの全体的な影響は反映されていない。地域によって新型コロナ流行の影響度合いも異なり、適時に死亡の報告を出せたかは地域間で差がある。

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