民主党全国大会２日目、クリントン元大統領やジル夫人が登場

（ＣＮＮ） 米大統領選に向けた民主党全国大会が２日目を迎えた１８日、バイデン前副大統領が正式候補に指名され、クリントン元大統領やジル・バイデン夫人らがビデオを通した演説で同氏への支持を改めて訴えた。

大会２日目は民主党の若手ホープからベテラン、さらに反トランプ大統領の立場を取る共和党穏健派まで登場した。最初は若手計１７人からなる演説から始まった。

それぞれに割り当てられた時間は短かったが、クリントン氏は５分間の持ち時間の中で得意の話術を発揮し、トランプ氏とバイデン氏の対比を鮮明に打ち出した。トランプ氏をホワイトハウスに襲い掛かった「嵐」に例え、「我々対かれら」と対立をあおるトランプ氏の米国か、だれもが共に生き、力を合わせるバイデン氏の米国かの選択だと訴えた。

クリントン元大統領/Democratic National Convention

バイデン氏を候補者に指名する最初の役を務めたのは、米紙ニューヨーク・タイムズ本社ビルの女性警備員、ジャックリン・アスビーさんだ。アスビーさんは同社を訪れたバイデン氏にエレベーターの中で声を掛けた経験から、「バイデン氏には自分以外のことを考える広い心がある」と語った。アスビーさんの前には、オカシオコルテス下院議員らが党の規定に従い、最後まで予備選を戦ったバーニー・サンダース上院議員の指名支持を表明した。

米紙ニューヨーク・タイムズ本社ビルの女性警備員、ジャックリン・アスビーさんがバイデン氏の最初の指名役となった/Democratic National Convention

各州の代表が予備選の結果を読み上げる恒例の手続きも、今回はオンラインで実施された。思い思いの建物や景勝地を背景に、地元の党幹部や活動家らが趣向を凝らした姿で登場した。

共和党の重鎮でありながらトランプ政権への厳しい批判で知られ、２０１８年に死去したマケイン元上院議員の妻、シンディ夫人は、バイデン氏とマケイン氏の党派を超えた友情を振り返る映像に合わせ、「２人が一緒に座り、冗談を飛ばし合う様子はコメディー番組のようだった」と語るビデオコメントを寄せた。バイデン氏への支持を直接的には表明しなかったが、接戦が予想されマケインブランドが依然根強いアリゾナ州で、トランプ氏に嫌気がさした共和党員がバイデン氏支持に回ることを民主党幹部は期待している。

バイデン氏（右）から自由勲章を授与されるマケイン氏＝２０１７年１０月１６日、ペンシルベニア州フィラデルフィア/William Thomas Cain/Getty Images

長年教師を務めたジル夫人は、かつて教壇に立ったデラウエア州の高校から演説。トランプ氏の名前は口にしないまま、夫は人々の苦しみに共感できる人物だと強調し、トランプ氏との違いを際立たせた。

最後の演説を高校の教室から行ったジル夫人/Democratic National Convention

同日最後の演説を行ったジル夫人は、バイデン氏が交通事故で前妻と娘に先立たれ、さらに長男を病気で亡くしながらも、家族を立ち直らせる姿を見てきたと語った。「壊れた家庭を直すにはどうしたらいいか。国を直すのと同じです」と話し、必要なのは「愛情と思いやり、小さな優しさの積み重ね、勇気と揺るがぬ信念」だと訴えた。

さらに教育者として、新型コロナウイルス感染拡大が教育現場に及ぼしている影響に思いを寄せ、演説の最後には「この教室から再び、笑い声と可能性が響き渡る日がやって来る」と希望を掲げた。

高校で行ったジル夫人（写真左）の演説の最後にはバイデン氏も登場/DNC