山火事で焼失の町、集めた鍵で「不死鳥」の像を制作

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山火事で焼失した家屋などの鍵1万8000個以上を使って制作された不死鳥の像/Douglas Keister

山火事で焼失した家屋などの鍵1万8000個以上を使って制作された不死鳥の像/Douglas Keister

(CNN) 昨年11月に米カリフォルニア州北部の大規模な山火事で壊滅状態となった町「パラダイス」の出身者が、焼失した家屋などの鍵を集め、不死鳥の像を制作した。

ジェシー・マーサーさん(34)はアートセラピーやカウンセリングの専門家。パラダイスの住民らに呼び掛けて集めた家屋や教会、学校、店舗、車などの鍵1万8000個以上を使い、1年間かけて重さ360キロの像を完成させた。

パラダイスが山火事に巻き込まれたのは昨年11月8日のことだ。住民ら85人が死亡し、焼失面積は6万2000ヘクタールに及んだ。町ではちょうど1年後の8日に追悼式典が開かれ、その場で不死鳥の像が紹介された。

マーサーさんは現在、パラダイスの隣町のアパートに住んでいる。あの日、町から避難してきた父が自宅の鍵を取り出す姿を見て、人々の喪失感に思いをはせた。

像を制作中のマーサーさん/Douglas Keister
像を制作中のマーサーさん/Douglas Keister

散り散りになった住民の心を束ねるなにかをつくらなければ――。金細工師の父に背中を押され、マーサーさんはフェイスブック上で鍵の提供を呼び掛けた。最初の鍵は火災の3日後に届いた。

鍵は郵送のほか、町内や近隣に設置した専用の箱に入れてもらったり、待ち合わせて直接受け取ったりした。それぞれの住民から聞く話に胸が痛み、「これまでの人生で最もつらい1年、忘れられない1年になった」という。

式典で披露された不死鳥像の隣に父親と並んで立つ/Ashley Carlton
式典で披露された不死鳥像の隣に父親と並んで立つ/Ashley Carlton

泣きながら教会の鍵を渡す牧師たちや、40年間教員生活を送った教室の鍵を差し出す女性もいた。ある少女からは「私の秘密を守って」と、日記帳の鍵が送られてきた。

マーサーさんは式典で、パラダイス史上初の「町の鍵」を贈られた。不死鳥の像は、町の復興拠点となる施設に展示される。

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