英男性、家族のために庭で飛行機を作成

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飛行機を自ら製作した機械技師のアショク・アリセリル・タマラクシャンさん/Courtesy Ashok Thamarakshan

飛行機を自ら製作した機械技師のアショク・アリセリル・タマラクシャンさん/Courtesy Ashok Thamarakshan

(CNN) さかのぼること10年以上、機械技師のアショク・アリセリル・タマラクシャンさんは英国の飛行場の近くに引っ越した。その時初めて、飛行機の操縦を習おうと本気で考え始めた。

それから数年後、妻のアブヒラシャさんから30分間のフライト体験を誕生日にプレゼントしてもらい、初めて空を飛ぶ面白さを知った。

イングランド・エセックス州在住のアリセリルさんは、地元の飛行場で何度か訓練を受けた。そして初飛行で、英国沖南部のワイト島へ飛び立った。

「目からうろこが落ちる体験だった、操縦できて、飛行機にアクセスさえできれば、こんなにも自由にあちこち行けるなんて」と、アリセリルさんはCNN Travelに語る。「たちまち夢中になった」

アリセリルさんは2019年に自家用操縦士のライセンスを取得。ほどなく飛行機をレンタルして近場を旅するようになった。

アマチュア向け組み立てキット

現在アリセリルさんとアブラヒラシャさんの間には娘が2人。家族が増えるにしたがい、一般にレンタル機として出回っている2人乗りタイプは適さなくなった。アリセリルさんは自家用機の購入を検討し始めた。

一時は中古飛行機の購入も考え、1960~70年代製の機体を物色したこともあった。

だがアリセリルさんいわく、使い慣れない中古機に家族を乗せて飛ぶことにためらいを感じたそうだ。「快適な空の旅」にはならないだろうとも思った。

やがてアリセリルさんは飛行機を自作できないかと模索し始めた。そうすれば飛行機の理解も深まり、長い目で見ればメンテナンスも楽になるだろうと考えたのだ。

自作飛行機の組み立てキットについて調べるうちに出会ったのが、南アフリカのスリング・エアクラフト社が製作する4人乗り飛行機だ。これはすべての条件をクリアしていた。

2020年1月、アリセリルさんは週末を利用してヨハネスブルクにあるスリング・エアクラフト社の工場へ向かい、組み立て式スリングTSi機を試運転した。満足したアリセリルさんは購入を決断した。

「まだコロナ前で、当時は渡航もずっと楽だった」とアリセリルさんは説明する。「帰国してすぐに最初のキットを注文した。手元に届くころには、全面的にロックダウン(都市封鎖)が敷かれていた」

アリセリルさんの話では、飛行機を組み立てた経験のあるアリセリルさんの同僚が手伝いを申し出てくれたそうだ。だがこの時点で新型コロナウイルスは世界中に蔓延(まんえん)しており、パンデミック(世界的大流行)に伴う規制で実現にはいたらなかった。

自宅での製作

アリセリルさんはひるむことなく、裏庭に小屋を建てて、プロジェクトの各行程の計画を練った。これらの行程は、英民間航空局(CAA)から自作飛行機の製作とメンテナンスの監督を承認された団体「軽飛行機協会(LAA)」からチェックを受けることになる。

自作飛行機に関する規制は国によって異なる。米国では連邦航空局(FAA)が、「試験的耐空性」というカテゴリーを設け、自作飛行機の組み立て用に特別な耐空性証明書を発行している。

英国ではCAAが自作飛行機の調査を担当し、飛行に適していると認められれば「飛行許可書」が発行される。

当時英国で敷かれていたコロナ規制により、スタートはやや遅れたものの、アリセリルさんは20年4月にプロジェクトに取りかかった。LAAの担当査察官が事前に作業場を視察する必要があった。

全長7.175メートル、幅2.45メートルの飛行機を製作するにあたり、エンジニアとしての経歴もいくらか役立ったとアリセリルさんは言うものの、最終的に一番有益だったのは自宅を改築した経験だったそうだ。

「組み立てキットは、実務経験とプロ向けの道具を使った経験があれば、どんなアマチュアでも作れるように設計されている」とアリセリルさん。図面と一緒に「イケアの家具のような詳しい説明書」が同封されていたと語った。

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