総工費3兆円、ロンドン新高速鉄道「エリザベス線」の内部に迫る

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英ロンドンに新線開通へ

(CNN) 早ければ5月以降、英首都ロンドンの移動は、東西を結ぶ新高速鉄道によって利便性が飛躍的に向上する――。

「クロスレール」として知られる「エリザベス線」が開通すれば、カナリーワーフからヒースロー空港までの所要時間はわずか38分。現在、地下鉄では少なくとも1時間、タクシーでは通常の交通量でもその約2倍の時間がかかることから、それが大幅に短縮されることになる。

新列車の最高時速は約145キロ、定員は1500人で、座席数は450席。ロンドン中心部の地下を走行し、ドックランズや金融街シティ、ショッピングと演劇の中心地ウェストエンド、ヒースロー、そしてロンドンへの通勤圏であるエセックス、ケント、テムズバレー方面にも乗り入れる。

エリザベス線の総延長距離は約100キロメートルで、ロンドン中心部を通る約42キロメートルの新トンネルを中心に構築され、世界で最も密集した都市のひとつであるロンドンの地下に巧妙に埋め込まれた。

直径約6メートル、深さ最大40メートルの複線トンネルは、ロンドン地下鉄のトンネルをはじめ無数の構造物を縫うように通っている。トンネルは2012年から15年にかけて、1000トンのトンネル掘削機(TBM)8台を使用し、3年がかりで掘られた。

建設の最盛期、クロスレールは欧州最大規模の技術開発プロジェクトだった。

5月には、ロンドン南東部のアビーウッドとロンドン主要駅のひとつであるパディントン間を両方向、1時間当たり最大12本運行するプレ運行が開始される。今年秋には、アビーウッドとレディング、ヒースロー空港を結ぶ直通列車と、ロンドン北東部にあるエセックス州シェンフィールドとパディントンを結ぶ直通列車が導入され、運行本数は倍増する。

クロスレールの全線開通は、遅くとも来年5月には実現し、ネットワーク全体で1時間に最大24本の列車が各方面から運行される見通しだ。

このプロジェクトは、長い年月を経て実現した。07年に18年の開通を目指して承認され、09年に着工。4年遅れで約40億ポンド(約6400億円)の予算超過となり、総工費は189億ポンド(約3兆500億円)に膨れ上がった。ロンドン市長のサディク・カーン氏は、18年の時点で、ずさんな運営状況について「怒りと不満」を表明している。

だが、エリザベス線の開通によって、新たに150万人がロンドン中心部へ45分以内に移動できるようになり、ロンドン市民や観光客にとって首都の移動は一変することになる。

士気が大きく高まる

では、クロスレールとは一体何なのか。クロスレールは、東のシェンフィールドとアビーウッド、西のヒースローとレディングを結び、既存の通勤鉄道と結合させる路線だ。これにより都市間の移動が加速され、ロンドン地下鉄の既存路線、特に混雑しがちなセントラル線の混雑緩和につながるという。

クロスレールが完全に開通すれば、ロンドンの鉄道輸送力は10%増加し、ロンドンの交通網を拡張したひとつのプロジェクトとしては、過去約70年のうち最大級のものとなる。

利用客数は年間約2億人を見込んでいた。だが、これは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生前に立てられた予想であり、勤務形態の変化によって現在は疑問符がついている。

ロンドン交通局長のアンディー・バイフォード氏は2月、「クロスレールが開通すれば、ロンドン市民の士気と自信を大きく高めることになる」と述べている。

このプロジェクトのスケールの大きさを理解するのは難しい。そこで今回、ロンドン中心部の東に位置するカナリーワーフからロンドン西部のヒースロー空港まで、クロスレールを味わう旅に出かけよう。

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