マスク着用拒む乗客後を絶たず、機内の問題行動さらに悪化も 米

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マスク着用拒否など、機内トラブル増加 米

(CNN) 新型コロナウイルスの流行が続く中、旅客機を利用する乗客が徐々に増え始めている。しかし乗員はマスクの着用を拒む乗客への対応に苦慮、搭乗便から降ろされたり、以後の搭乗を禁止されたりする乗客も相次いでいる。

米サウスウエスト航空便に搭乗したステファニー・シェラーさんは、顔をマスクで覆い、手指消毒剤を準備して、座席も消毒した。2人の子どもにもマスクを着けさせていた。

シェラーさんが搭乗したのは7月15日。出発地のコロラド州デンバーから、自宅のあるカリフォルニア州ロサンゼルスまで2時間の飛行だった。新型コロナウイルスが流行する中での搭乗には不安もあったが、マスクの着用を義務付け、中央の座席は空席としたサウスウエスト航空の対応に安心感を感じていた。

ところが同機が出発ゲートを離れたところで、数列前の座席に座った男女に対し、客室乗務員がマスクの着用を促す声が聞こえてきた。

やがて同機はゲートに引き返すことになり、周りの乗客からは、「なんでマスクを着けられないんだ」「乗り継ぎ便に間に合わないかもしれない」などの怒声が飛び交ったという。

事態がエスカレートする中、シェラーさんは携帯電話を取り出して、この様子を録画し始めた。

マスク着用をめぐる機内トラブルに遭遇したステファニー・シェラーさんと子どもたち/Courtesy Stephanie Scherrer
マスク着用をめぐる機内トラブルに遭遇したステファニー・シェラーさんと子どもたち/Courtesy Stephanie Scherrer

CNNに提供されたこの動画では、1人の乗客が、マスクを着用しないのは「憲法上の権利に反する」からだと訴えていた。

結局、問題の男女は係員に促されて同機を降り、残る乗客からは歓声が上がった。

サウスウエスト航空はこの騒ぎについてコメントを避けているが、同社は例外なくマスク着用を義務付けるポリシーについて、予約段階から搭乗までの手続きを通じて明記している。

新型コロナウイルス対策のロックダウンの影響で、この春にかけて旅客機の利用者は激減していたが、米運輸保安局(TSA)の統計によれば、前回の週末に空港の保安検査を通過した人は、流行が始まって以来初めて80万人を超えた。

この数字は、260万人が通過していた2019年の同じ日に比べるとわずか31%にとどまるが、それでも乗客が戻り始めた傾向をうかがわせる。

新型コロナウイルスの流行前から、機内で暴れたりルールに従わなかったりする乗客の問題行動は増える傾向にあった。

新型コロナウイルスの影響で空の旅の様相は一変し、ウイルスに対する不安から、乗客の緊張が一層高まっている可能性もある。マスク着用の義務付けなど、衝突につながりかねない要因も増えた。

航空会社の義務付けに従い、マスクを着用して登場する旅行者ら/CNN
航空会社の義務付けに従い、マスクを着用して登場する旅行者ら/CNN

アメリカン航空の客室乗務員、アリー・マリスさんは、乗客が増えるに従い、「乗客の問題行動に関する組合への報告が激増している。その多くは、マスク着用の義務付けが発端となっている」と話す。

今では全乗員と2歳以上の乗客全員にマスクの着用が義務付けられ、「マスクを着用する意思がない場合は、別の交通手段で目的地に行ってほしいとお願いしている」という。

機内でも飲食の際はマスクを外すことができるが、それを利用してルールを破ろうとする乗客もいる。いったん飛び立った便が引き返すことはしないものの、従わない乗客については乗員が氏名を控え、丁寧にマスクの着用を促すという。

アメリカン航空やユナイテッド航空などは、マスク着用を拒む乗客について、次回以降の搭乗を禁止すると表明している。

デルタ航空によれば、マスク着用を拒んで以後の搭乗を禁止された乗客は100人以上に上るという。

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