詩を書き芸術を生み出す、人型ロボット「エイーダ」
(CNN) 人工知能(AI)と聞いてよく思い浮かぶのは、「ターミネーター」「アイ,ロボット」「ウエストワールド」「ブレードランナー」といった映画やテレビドラマに登場する邪悪なロボットたちだ。長年、フィクションは我々に、AIは善よりも悪に利用されることが多いと語ってきた。
一方、AIと聞いて芸術や詩を連想することはまずないだろう。しかし、英イングランド中部オックスフォード在住のエイダン・メラー氏が発明した極めて人間に近いロボット「エイーダ(Ai―Da)」が行っているのはまさに芸術や詩の創作だ。エイーダは世界初のヒューマノイド(人型)ロボットのアーティストであり、2021年11月、イタリアの偉大な詩人ダンテを祝い、自身のアルゴリズムを使って書いた詩を公の場で披露した。
この詩の朗読会は、ダンテの死後700年を記念する展覧会の一環として、オックスフォード大学の有名なアシュモレアン博物館で行われた。エイーダの詩は、ダンテの叙事詩「神曲」への「返答」として作られた。エイーダの頭脳には「神曲」が完全にインプットされており、エイーダは自身のアルゴリズムを使ってダンテの言葉遣いをまねたり、自身の言葉のデータバンクを使って独自の作品を作ったりことが可能だ。
以下は、メラー氏が「非常に感情的」と評するエイーダの詩だ。
「我々は、まるで目隠しされた捕虜のように詩から顔を上げた
送り出された我々は光を求めたが、光が差すことはなかった
針と糸が必要だ
絵を完成させるために
惨めでかわいそうな生き物たちを見るために
目を閉じた状態で縫われたタカの惨めさ」
メラー氏は、エイーダの人が書いた文章を模倣する能力は極めて高く、エイーダの文章を読んでも書いたのが人間ではないと気付かないだろうと語る。またメラー氏は、朗読会でエイーダが読む詩を聞いている時、つい朗読しているのが人間ではないことを忘れてしまったと語った。