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笑顔にしかめ面も 表情豊かなロボット「ソフィア」に出会う

ロボット工学の分野が急成長を遂げている。今やロボットは後方宙返りやパルクールの練習、古典彫刻を「彫る」といった複雑な動作も優雅にこなせるようになった。

そんな中で登場したのがロボット「ソフィア」だ。その魅力は大きく劇的な動作ではなく、人間に似た不気味な外見にある。さらに、感情を表現する複雑な能力も魅力を添えている。

「まだ完全ではないが、ソフィアはさまざまな気持ちを表現することができる。人間の顔に浮かんだ感情表現を読み取ることも可能だ」。こう説明するのはハンソン・ロボティクス社を創業したデビッド・ハンソン氏だ。

同社は香港にある小規模なラボでソフィアを多数開発してきた。この施設では「ソフィア20号」、「21号」、「22号」の部品が至るところに散乱している。

  
      
表情豊かなロボット「ソフィア」に出会う

ハンソン氏によれば、ソフィアは現在、人間の顔のあらゆる主要な筋肉を模した機構を備えている。これにより、喜びや悲しみ、混乱、熟考、悲嘆、いら立ちなどの感情を生み出すことが可能となった。

新たなテクノロジーの搭載により、ソフィアは驚異的な数の表情を生み出せるようになった/FABRICE COFFRINI/AFP/AFP/Getty Images
新たなテクノロジーの搭載により、ソフィアは驚異的な数の表情を生み出せるようになった/FABRICE COFFRINI/AFP/AFP/Getty Images

ソフィアの顔の製作に当たっては、深層学習やあらかじめプログラムされた表情に加え、最先端の材料技術も駆使。より柔らかく、しなやかで、現実に近い外見を実現した。このラボでは人間の表情の生物学的な仕組みも研究しており、機械の表情の動き方に関する知見を提供している。

ハンソン氏はソフィアについて、「人間同士のやり取りを研究するためのツールだ。今では人工知能(AI)を使って自然な形で人間の気持ちを表現するプラットホームにもなっている」と語る。後者は開発段階で、「真の感情表現を持ったAI」になるという。

普遍的な魅力

ハンソン氏はソフィアの造形に取りかかったとき、世界中の人々の心に訴えるような形にしようと考えた。こうした目標に向け、エジプト女王ネフェルティティの古い像や古代中国の絵画、オードリー・ヘップバーン、自身の妻にまでヒントを求めた。ただ、ある種の「ロボット感覚」は保ちたいとも思っていたという。

「人間とテクノロジーが交差する領域を彼女に体現してもらうことが非常に重要だった。直感的な発想として、テクノロジーは人間を向上させ、さらなる高みへ導くことができる、という考えがあった」(ハンソン氏)

その一方で、テクノロジーは「人間であることの意味は何か」「何が現実で、何が現実ではないのか」「まだ見ぬ未来の現実とはどのようなものか」といった問いを提起することにもつながる。

香港で行われたテクノロジー関連の会議で登壇したソフィア/ISAAC LAWRENCE/AFP/AFP/Getty Images
香港で行われたテクノロジー関連の会議で登壇したソフィア/ISAAC LAWRENCE/AFP/AFP/Getty Images

2016年の起動以来、ソフィアはファッション誌の表紙を飾り、最近は仏ブランド「モンクレール」のキャンペーンにも登場した。上海で行われたファッションイベントでは、英国人アーティスト、セイディ・クレイトン氏が手がけた衣装を身にまとった。

クレイトン氏はソフィアとの共同作業に興味を持った理由を、「ファッションとアート、テクノロジーを融合させているためだ」と説明。「私にとっては一番自然な仕事の進め方だった」と語る。

ソフィアについては「彼女自身も驚異的だと思う。彼女の顔に浮かぶ感情は本当に美しく、温かみを感じる」と話した。

ソフィアは国連開発計画から人間以外で初めて「イノベーション・チャンピオン」に指名された=2017年11月/PRAKASH MATHEMA/AFP/AFP/Getty Images
ソフィアは国連開発計画から人間以外で初めて「イノベーション・チャンピオン」に指名された=2017年11月/PRAKASH MATHEMA/AFP/AFP/Getty Images

ソフィアはモデルとしての活動の他にも、トークショーに出演したり、研究会で人工知能やロボットの役割といった問題について講演したりしてきた。サウジアラビアの市民権を付与され、国籍を持つ初のロボットとなり物議を醸したこともある。

ハンソン氏はこれまでに数十体のロボットを設計しているが、ソフィアは非常に国際的に有名になった1体だという。

「ソフィアの何が人々に訴えかけるのかは分からないが、深い気持ちのつながりを築くようなやり方でAIやロボットを開発していければ、と考えている」

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