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バレエ団監督に活動停止処分、批評家の顔に犬の排泄物こすり付け 独ハノーバー

独ハノーバー州立歌劇場のバレエ監督マルコ・ゲッケ氏は活動停止処分を受け警察の捜査を受けている

独ハノーバー州立歌劇場のバレエ監督マルコ・ゲッケ氏は活動停止処分を受け警察の捜査を受けている/Christophe Gateau/picture alliance/Getty Images

ドイツの警察が同国を代表するバレエ団の監督に対する取り調べを行っている。当該の監督は犬の排泄(はいせつ)物を批評家の顔にこすり付けたとして活動停止中。批評家の書いたレビューの内容に怒りを抱いての行動だったという。

独紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)が12日付の記事で報じたところによると、ハノーバー州立歌劇場バレエ団を統括するマルコ・ゲッケ氏は、ジャーナリストのヴィープケ・ヒュスター氏を激しい口調で攻撃した。バレエのプレミア公演の幕間(まくあい)での出来事だったという。口論のきっかけはヒュスター氏が事前に執筆していたレビューのようだったと同紙は伝えている。

記事によればゲッケ氏は、ハノーバー州立歌劇場への出入りを禁止するとヒュスター氏を脅し、続けて犬の排泄物の入った紙袋を同氏の顔にこすり付けたという。

ゲッケ氏はCNNに宛てた14日の声明で、ヒュスター氏並びに自身の「全く受け入れられない行動」で影響を受けた全ての人々に謝罪した。

声明では「今にして思えば、これが恥ずべき行為だったとはっきり分かる。瞬間的に頭に血が上り、過剰反応した結果だ」「2つのプレミア公演が短い期間で続き、神経に負担がかかっていた」とつづった。その上で9日にはオランダのハーグで、11日にはハノーバーでプレミア公演があったと付け加えた。

ゲッケ氏は公共放送NDRに対し、ヒュスター氏から「糞便(ふんべん)(のようなひどい批評)を何年も投げ付けられている」と主張。そこで飼い犬のダックスフントの排泄物が入った紙袋を使ってヒュスター氏を攻撃したと語った。「もちろんこれは言い訳であり、歌劇場のような公共の場で起きていい出来事ではなかった。当然ながら観客が恐怖を感じたのも事実だ。その点について非常に申し訳なく思っている」(ゲッケ氏)

FAZは記事の中で、「本紙は身体的な攻撃以外の屈辱的行為に関しても、我々の自由かつ批評的な芸術観を脅かす試みだとみなしている」と説明。ヒュスター氏は刑事告発しており、警察がこの件について現在捜査中だと伝えた。

ハノーバー警察の報道官はCNNに対し、ヒュスター氏への侮辱並びに身体的被害として捜査していることを確認した。現時点で訴追は行われていない。

ハノーバー州立歌劇場は即座に「個人的にも公的にも」ヒュスター氏に謝罪。報道向けの発表で、同氏は「自らの尊厳を露骨に傷つけられた」と述べた。

同歌劇場は13日、ゲッケ氏に対する活動停止処分を下した。処分は「即時発効」し、同氏は歌劇場への出入りを禁じられる。広報担当者が同日確認した。

「バレエ監督のマルコ・ゲッケ氏はハノーバー州立歌劇場のあらゆる行動規範に違反し、ジャーナリストのヴィープケ・ヒュスター氏に対して11日夜、衝動的な対応を取った。ヒュスター氏個人を大いに侮辱し、結果として観客や歌劇場の職員、一般大衆を不安に陥らせた。それも極めて過激なやり方で」と、同歌劇場はCNN宛ての声明で述べた。

地元のジャーナリスト団体のトップを務めるフランク・リーガー氏は、当該の攻撃を「報道の自由に対するもの」と非難。

ツイッターへの投稿で「芸術家は批評に耐えなくてはならない。たとえそれが度を超えたものに思えるとしても」「誰であれ、批評に暴力で反応する者は容認されない」と述べた。

一方ゲッケ氏は、自身が「破壊的で人を傷つける報道」と呼ぶジャーナリズムを批判。そうした報道が「文化的な営みの全て」を毀損(きそん)していると強調した。

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