Arts

旧刑務所の壁の「脱獄囚」、バンクシーが自作と確認

Nigel Keene/ProSportsImages/Shutterstock

英国の刑務所だった施設の壁に突如現れた脱獄を試みる受刑者の壁画について、神出鬼没の覆面アーティスト、バンクシーが自身の作品であると確認した。

4日にインスタグラムへ投稿された動画には、バンクシーと思われる人物がスプレーで壁に囚人を描く様子が映っている。当該の建物はイングランド南部レディングにある、現在は使用されていない刑務所で、かつてアイルランドの詩人、オスカー・ワイルドが収監されたことで知られる。

動画には「Create Escape」のキャプションがついている。内容は人気テレビ番組「ボブの絵画教室」のパロディーで、夜の闇に紛れて制作するバンクシーの映像に、同番組の出演者だった画家の故ボブ・ロスさんが絵の描き方を説明する声が重なる。あたかもバンクシーの作品にロスさんがコメントを加えているような仕上がりになっている。

動画では、囚人のモデルがワイルドなのかどうか明言していない。ワイルドは1895年から2年間、この施設に収監されていた。罪状のもとになったのはかつて存在した「ひどいわいせつ行為」を禁じる法律で、同性愛の男性を訴追するのに適用されていた。ワイルドの1898年の作品「レディング牢獄の唄」は、収監された期間を振り返る内容となっている。

刑務所は2013年に閉鎖された。

昨年12月、バンクシーはイングランドのブリストルに新作の壁画を描いたことを確認していた。多くの人は同市をバンクシーの地元だと考えている。

「Aachoo!!(ハックション!!)」と題されたこの作品は、高齢の女性が激しくくしゃみをする様子を描いたもの。女性の前方へ勢いよく噴き出した飛沫(ひまつ)の先には入れ歯が浮かんでいる。

旧刑務所に描かれた壁画/Nigel Keene/ProSportsImages/Shutterstock
旧刑務所に描かれた壁画/Nigel Keene/ProSportsImages/Shutterstock

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起きた昨年、バンクシーは感染をテーマにした作品を複数制作した。

4月には自宅の洗面所やトイレに描いたネズミのイラストを披露し、「妻は私の在宅勤務を嫌がっている」と投稿。

翌月の「ゲームチェンジャー」と名付けた作品では、マスクやマントを身に着けた看護師の人形で遊ぶ子どもの姿を描いた。

さらに7月、インスタグラムに投稿した動画の中で、自らのスプレーペインティングによってネズミのイラストをロンドンの地下鉄に描く様子を公開。人々に乗車の際のマスク着用を呼び掛けた。交通当局はこの後、「厳格な反落書きの指針」に違反するとの理由からこれらの絵を消去した。

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]