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美術館の隠れた扉から絵画発見、23年前に消えたクリムト作品か

隠し部屋から23年ぶりに絵画発見、クリムトの作品か

オーストリアの画家グスタフ・クリムトの作とみられる女性の肖像画がこのほど、イタリア北部ピアチェンツァの美術館の隠れた外壁の扉奥にあった空間から発見された。同作品は23年間所在が分からなくなっており、盗まれたと考えられていた。

同館に勤めるダリオ・ガッリナリ氏は今月9日、ランチから戻るなり美術館の清掃にあたっていた作業員の1人から声をかけられた。作業中、美術館の外壁を覆う厚さ30センチものツタを払っていると壁面に小さな扉が現れたというのだ。作業員がすっかりさび付いたその扉を開けたところ、奥の小部屋から1枚の絵画を発見したという。

CNNの取材に対し「最初は冗談だと思った」と話すガッリナリ氏だが、黒いごみ袋から半分はみ出した状態のその絵には見覚えがあった。調べてみると、かつて同美術館で収蔵していたクリムト作「婦人の肖像」である可能性があることが分かった。同作は美術館の改修中に姿を消し、そのまま23年間行方不明になっていた。

当時は絵の額だけが美術館の天窓の近くで見つかったため、天窓を通じて何者かが館内に侵入し、絵を盗み去ったと考えられていた。しかし今回の発見は、絵が美術館の外に持ち出されていなかったことを示唆するものだと、CNN系列局のスカイTG24は伝えている。

「婦人の肖像」は頬の赤い、黒髪の若い女性を描いた作品で、前出のガッリナリ氏によると状態は良好だという。色彩は依然として鮮明で、目立ったきずなどもない。現在は警察が保管し、本物かどうかを調査している。

過去にも「発見」された事案はあったが、高いクオリティーの偽物だった。ただ、今回は絵画の裏に以前の展示の際のスタンプが確認されており、本物である可能性が高いという。

「婦人の肖像」は1つのキャンバスに2つの絵が描かれている点で特に重要視されている。当時の地元メディアの報道によると、絵画が消えた直後、美術学生が「若い婦人の肖像」という作品の上に「婦人の肖像」が描かれていることを突き止めていた。「若い婦人の肖像」は1917年以降所在が不明だった。

クリムトは死の数年前に女性の肖像画の連作を描いたことで知られる。「婦人の肖像」はその中の1枚で、これらの作品の中には未完成のものもある。

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