原発事故で周辺のチョウに変異、子孫の世代で出現率高く

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(CNN) 東京電力福島第一原子力発電所の周辺で採集したチョウに変異や異常が見つかったとする調査結果がこのほど、科学誌ネイチャー系列のサイエンティフィック・リポーツ電子版に発表された。

調査は琉球大の大瀧丈二准教授らの研究チームが実施した。原発事故の引き金となった東日本大震災から2カ月後の昨年5月に福島県とその周辺で100羽を超えるヤマトシジミを採集して調べたところ、12%に異常や変異が見つかった。

異常は脚や触角、腹部、眼のくぼみに現れたほか、羽が折れたりしわが寄ったりしているものや、羽の大きさや色が変わったり、斑点がなかったり大きくなっているものがあった。採集したチョウを交配して生まれた子孫では変異の出現率が18%に増え、一部は成虫になる前に死んだ。

この子孫と放射性物質の影響を受けていないチョウを交配した子孫では、変異の出現率は34%に高まり、遺伝子を通じて世代間で変異が受け継がれていることが示唆された。

さらに、9月に採集した200羽超では28%に異常が見られ、子孫では52%に跳ね上がった。9月に採集されたチョウは幼虫のころから放射性物質にさらされたことが原因とみられるという。

研究チームは変異の原因が原発事故にあることを確認するため、影響を受けていないチョウを採集して低濃度の放射性物質にさらしたところ、同様の結果が出たといい、「福島第一原発からの放射性核種がこの種に対して生理学的、遺伝的ダメージを与えているとの結論に達した」としている。

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