北朝鮮、新型コロナ流行なら金委員長にとって最大の危機

北朝鮮、新型コロナ感染疑い例で緊急会議招集

香港(CNN) 金一族が支配する北朝鮮は何十年にもわたり、彼らだけが北朝鮮の人々を資本主義者や米国、その他の敵対的な勢力から守ることができるという考え方に基づいていた。

今、北朝鮮政府によれば、新たな脅威が訪れた。北朝鮮国内で初めての新型コロナウイルスの感染の疑い例が報告されたのだ。

朝鮮中央通信(KCNA)によれば、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、3年前に脱北した人物が開城(ケソン)に戻ったが新型コロナウイルスに感染している可能性があると報じられると、緊急会議を招集した。

韓国当局は脱北者が軍事境界線を抜けて北朝鮮に入ったことを確認した。韓国保健省によれば、この男性は新型コロナウイルスの感染者もしくは濃厚接触者だとは知られていなかった。地元警察はこの男性が、性犯罪にからんだ捜査を受けていたとしている。

KCNAによれば、男性は新型コロナウイルスの症状を見せていたが、検査を受けたかどうかは明らかにしていない。濃厚接触者は検査を受けて隔離されたが、KCNAは、開城で大惨事につながりかねない危機的な状況が進んでいると警告している。

昨年7月に公開された写真に写る北朝鮮の都市、開城の様子/Naohiko Hatta/Kyodo News via AP
昨年7月に公開された写真に写る北朝鮮の都市、開城の様子/Naohiko Hatta/Kyodo News via AP

2500万人の人口を抱え中国と国境を接している北朝鮮が新型コロナウイルスの世界的な流行の影響から逃れていると考える専門家はほとんどいない。

北朝鮮が新型コロナウイルスの感染例を確認していないのは検査を行っていないか、あるいは小規模なクラスター(感染者集団)の隔離に成功してそれを報告していない可能性がある。

しかし、今回の脱北者が検査で陽性となり大規模な感染を引き起こせば、新型コロナウイルスは約9年にわたって北朝鮮を統治してきた金委員長にとって最大の脅威のひとつとなりかねない。

専門家によれば、老朽化した北朝鮮の医療インフラは新型コロナウイルスに感染した大量の患者を治療する任務には耐えきれない可能性が高い。

それが、北朝鮮が新型コロナウイルスを寄せ付けないように積極的に取り組んでいる理由のひとつかもしれない。

北朝鮮は1月、新型コロナウイルスの流行が報じられると国境を閉鎖した。北朝鮮が経済活動の維持について中国政府に依存していることを考えれば国境閉鎖のような動きは大きな負担を伴ったはずだ。

北朝鮮政府が提供した新型コロナをめぐる緊急会議の写真。後方左から2人目に金正恩氏の姿が見える/Korea News Service via AP
北朝鮮政府が提供した新型コロナをめぐる緊急会議の写真。後方左から2人目に金正恩氏の姿が見える/Korea News Service via AP

しかし、北朝鮮は感染者集団の食い止めには独特の立場にある。

新型コロナウイルスが流行する前から北朝鮮を訪れる外国人観光客は極めて限られていた。そして、今ではゼロに近い。入国者の大部分は外交官か外国の援助活動家で到着時に厳しい隔離措置を求められている。

平均的な北朝鮮の人々は普通の状況でも政府の許可がなければ自宅から遠くへ旅行することは許されていない。平壌にいる外交官の情報筋が7月上旬に語ったところによれば、街中では全員がマスクを着用し、社会的距離の確保といった措置も取られているという。

金委員長は新型コロナウイルスが北朝鮮の人々にとって脅威だという現実を把握しているようだが、そこまで長く歴史を振り返らずともそのわけは理解できる。

金一族にとって1990年代の飢饉(ききん)がこれまでに直面した最大の危機だっただろう。北朝鮮政府は食料不足により最大23万5000人が死亡したとしているが、専門家は最大350万人が犠牲になった可能性があると指摘する。飢饉はほとんど人災だったいうのが多くの見方だが、洪水の発生も被害に拍車をかけた。

危機のさ中には脱北者が相次ぎ、彼らが語る恐るべき状況に国際社会は衝撃を受けた。

ひとつの世代で2度目の健康危機が起これば、金一族にとって大打撃となる可能性がある。

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