金属「食べる」細菌、米研究者が偶然見つける 長年の仮説を裏付け

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新たに見つかった細菌によって作られた酸化マンガンのノジュール(団塊)/Hang Yu/Caltech

新たに見つかった細菌によって作られた酸化マンガンのノジュール(団塊)/Hang Yu/Caltech

(CNN) 米国の細菌学者らがこのほど、金属のマンガンを「食べて」カロリーを得ている細菌を偶然発見した。そのような細菌が存在するのではないかという説は100年以上にわたり唱えられてきたが、これまで証明されたことはなかった。

米カリフォルニア工科大学で環境細菌学を専攻するジャレッド・リードベター教授は、ある実験のため粉末状になった金属元素のマンガンを使用した。実験の後、同教授はマンガンにまみれたガラス容器を水道水で満たし、研究室のシンク内に放置。そのまま学外での活動に出かけて数カ月戻らなかった。

数カ月ぶりに研究室に戻ったリードベター教授は、ガラス容器が黒ずんだ物質に覆われているのに気が付いた。最初はそれが何なのか見当もつかなかったが、かねて探し求めていた細菌によるものかもしれないと思い、系統立ったテストをして確かめることにしたという。

その結果、容器を覆った黒ずんだものは酸化マンガンで、新たに見つかった細菌によって作り出されていたことが分かった。この細菌は、現地の帯水層からくみ上げた水道水の中にいた公算が大きいという。

研究者らはこの細菌について、14日刊行のネイチャー誌の中で、マンガンをエネルギー源として利用することが確認された初めての細菌だと説明。自然界の細菌はたとえ金属のような物質であってもこれを新陳代謝させ、細胞に必要なエネルギーを引き出すことができるとの見解を示した。

新たな研究では、この細菌がマンガンを使って化学合成を行えることを突き止めた。化学合成とは、細菌類が無機物の酸化により生じるエネルギーを用いて二酸化炭素から有機物を合成する働きを指す。

さらにリードベター教授は、酸化マンガンが水道管を詰まらせる環境工学上の問題にも言及。これまで細菌の活動が原因と考える研究者は多かったが、その裏付けとなる証拠は得られていなかったと述べた。

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