世界陸連、トランスジェンダー女性に関する規定を厳格化

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世界陸連のセバスチャン・コー会長/Andy Lyons/Getty Images for World Athletics/FILE

世界陸連のセバスチャン・コー会長/Andy Lyons/Getty Images for World Athletics/FILE

(CNN) 世界陸連は23日、トランスジェンダー女性の選手に影響を及ぼす新たな規定を発表した。規定を受け、当該の選手の一部は女子の陸上競技に出場できなくなる。

今月31日に発効する規定によれば、陸連が「男性思春期」と呼ぶ時期を過ぎた選手は、世界ランキングのつく女子の大会に出場することを禁じられる。「男性思春期」を過ごしている段階の選手については、規定から除外するとしている。

世界陸連のセバスチャン・コー会長は声明で「矛盾する要求や異なる集団の間での権利が絡む場合、決定を下すのは往々にして難しい。しかし我々は引き続き、女子選手にとっての公平性を維持しなくてはならないとの立場をとる。それは他のあらゆる検討事項に優先する」と述べた。

その上で、「我々の今後の指針は、身体的パフォーマンスと男性の優位性を巡る科学により策定される。その分野が向こう数年で進展していくことは必至だ。より多くの証拠が入手できるようになれば、我々も自分たちの立場を再検証するだろう。それでも陸上競技における女子部門の公正性こそが最も重要なものだと信じている」と続けた。

コー氏によれば今回の決定に先駆け、加盟国の連盟やコーチと選手の団体、国際オリンピック委員会(IOC)のほか、トランスジェンダーの代表、人権団体とも討議を行ったという。

またトランスジェンダー選手の受け入れに関する問題については作業部会を立ち上げ、今後1年をかけて評価する方針を表明。規定が変更になる可能性もあると示唆した。

トランスジェンダー女性が女子の競技に出場するべきではないと主張する人々は、生まれついての女性に対する身体的な優位性を理由に挙げる。

ただスポーツ・メディシン誌に掲載された2017年の報告によると、複数の関連する研究を検証した結果、トランスジェンダーの人々がそうでない人々より運動面で優位にあるかどうかを巡っては「直接的かつ一貫した調査」が行われていないことが分かったという。出場を禁止する措置はトランスジェンダーの人々に対する新たな差別につながるとの批判の声もある。

科学者の間では、テストステロンのような男性ホルモンが運動における優位性を示すマーカーとなるのかどうかについて、現在も議論が続いている。

23日の声明で、陸連はトランスジェンダー女性の出場に関して当初提示したオプションは関係者の支持をほとんど得られていないことが分かったと説明した。そこではトランスジェンダー女性に対し、テストステロン値を一定期間、既定の水準以下に保つことを条件に女子部門の国際大会への出場を認めるとしている。

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