ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが死去、88歳

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ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが3日、亡くなった/Jeff Pachoud/AFP/Getty Images

ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが3日、亡くなった/Jeff Pachoud/AFP/Getty Images

香港/東京(CNN) 多くの作品に織り込まれた強い平和主義の姿勢で知られる日本のノーベル賞作家、大江健三郎さんが老衰のため死去した。88歳だった。講談社が13日に確認した。

講談社によると、大江さんは10日前の今月3日に亡くなったという。

ノーベル賞のウェブサイトでは大江さんについて、詩的な力で想像的な世界をつくり出したと説明。そこでは生と神話が混然一体となり、読者の心をかき乱すような現代の人間の窮状が描かれていると評している。

大江さんは1935年、愛媛県生まれ。57年に作家デビューし、約40年後の94年にノーベル文学賞を受賞した。

日本人のノーベル文学賞受賞は68年の川端康成以来、2人目だった。

大江さんは日本が第2次世界大戦に敗戦した時期に育ち、その作品は少年時代の記憶から色濃い影響を受けている。

広島への原爆投下がもたらした惨状についてつづったほか、近年は安倍晋三元首相による平和主義憲法の見直しの試みに反対する集会に参加していた。

大江さんは2014年の集会で、集団的自衛権の行使により、日本は直接戦争に参加することになると指摘。日本の精神は過去100年で最も危険な段階に近づきつつあると懸念を表明していた。

このほかに大江さんの着想源となったのが、長男である光さんの存在だった。光さんは脳に障害があり、子どもの頃は何年も意思疎通ができない状態だった。

映画監督の故・伊丹十三さんの妹ゆかりさんと結婚した大江さんは、作品を通じて光さんに声を与えることを自らの使命にしていた。

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