カタールW杯、アディショナルタイムが桁違いに長い理由

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カタールW杯の試合で前半のアディショナルタイムが14分あることを告げる電光掲示板/Simon Stacpoole/Offside/Getty Images

カタールW杯の試合で前半のアディショナルタイムが14分あることを告げる電光掲示板/Simon Stacpoole/Offside/Getty Images

(CNN) 過去には、サッカーの試合時間を従来の90分より短くするよう求める声があった。念頭にあったのは若年層へのアピールだ。この世代は短い時間でコンテンツを楽しむのに慣れている。

ところが開催中のサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で、人々が観戦する試合はどんどん長くなる一方だ。前後半の最後に第4審判が掲げる電光掲示板で示されるアディショナルタイムは最短でも7~8分と、通常の4~5分を大きく上回る。時には10分を超える時間が追加されることもある。

その結果、開幕からの8試合で終了まで100分を切ったのはたった1試合しかない。

イングランドが6―2でイランに勝利した試合は、トータルで117分16秒かかった。前後半で取られたアディショナルタイムはそれぞれ14分8秒、13分8秒だった。このためイランのメフディ・タレミが102分30秒にペナルティーキック(PK)で挙げた1点は、1966年大会で記録を取り始めて以降、最も遅い時間に決まったゴールとなった。

このほか1―1で引き分けたウェールズ対米国の試合では14分34秒、2―0でオランダが勝利したセネガルとの試合は12分49秒、エクアドルが開催国のカタールを2―0で下した開幕戦は10分18秒のアディショナルタイムがそれぞれ設けられた。

これらの中には、負傷した選手の手当てに時間がかかったケースもある。しかしより長い時間を取るのは、国際サッカー連盟(FIFA)による取り組みの一環だ。FIFAは試合の中で無駄に使われていると思われる時間を長めのアディショナルタイムを取ることによって埋め合わせようとしている。具体的には選手たちがゴールを喜んでいる間や、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)による検証、選手交代が行われている時間などを指す。

現役時代は名審判として活躍し、現在はFIFAの審判委員長を務めるピエルルイジ・コッリーナ氏は、大会前の説明でアディショナルタイムについて、「7~8分」を超える長さになるとの見通しを語っていた。

コッリーナ氏によれば、前回のロシア大会からすでに7~9分程度のアディショナルタイムを取るのは珍しくなかった。審判らは前後半の終わりに加算する時間を厳密に計算し、特定の種類の事象で失われた時間を取り戻すよう求められているという。

同氏は「負傷の手当てや選手交代、PK、レッドカード、ゴールを喜ぶ行為などあらゆる時間を計算に入れる」とした上で、「ゴールを喜ぶのは一方のチームにとって歓喜の瞬間だが、相手にとってはそうではないだろう。そうした行為は1分から1分半続くこともある」「2~3点決まることを想定すれば、5~6分は簡単に失われる計算になる。当該のチームに対しては、そのハーフの最後に調整を行わなくてはならない」と述べた。

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