OPINION

バイデン氏は中国にどのように立ち向かうべきか

バイデン氏(右)は中国にどう対応していくのか/Andrea Verdelli/Mark Makela/Getty Images

バイデン氏(右)は中国にどう対応していくのか/Andrea Verdelli/Mark Makela/Getty Images

寄稿者のマイケル・ハーソン氏とポール・トリオロ氏
寄稿者のマイケル・ハーソン氏とポール・トリオロ氏

中国に対して強硬路線を取る必要性は今日、米国の民主党と共和党が合意できる数少ない点の一つだ。こうした超党派での認識の一致はドナルド・トランプ大統領が就任する前から始まっていた。背景には中国が米国に経済的にも技術的にも追いついてきていることへの警戒感と、中国の貿易や人権関連の政策に対する不満がある。だが、間もなく始まるジョー・バイデン次期大統領の政権と連邦議会は、中国に対し単に強硬なだけでなく、賢い方針で臨む必要がある。

新政権と議会が留意すべき点をいくつかまとめた。

長期戦を戦え

トランプ政権は、過去の米国の対中政策の様々な側面が効果的でなかったことを正しく認識していた。特に、問題を抱える貿易や外交政策で、中国に立ち向かうことをたびたび避けた姿勢がそれに当たる。

だが、現政権は――議会の両党からの熱心な声援もあり――逆側へと極端に振り切ってしまった。今の米国の方針は、関税から米国技術の輸出管理に至るまで、どんな道具も中国に対抗するためのものと見てしまっている。最初に持続可能な戦略をめぐらすことをせずに。

米国の半導体産業が次世代通信規格「5G」で中国トップの華為技術(ファーウェイ)や他のIT企業に製品を販売するのを制限することを考えてみよう。そうした動きは短期的には、世界の5G通信網での中国のリードを鈍化させることに成功しているが、これは同時に米国の技術覇権に危険ももたらしている。

中国や他の国の企業は今や、自国の技術分野から米国の製品や知的財産を除外して設計しようというインセンティブを持っている。米国が注意深い姿勢を失えば、中国や他の国の企業が代わりにそうした製品を供給するようになり、米国の半導体企業は世界シェアを失い、最先端の技術への投資に回す利益を失う結果となる。

金融制裁や他の多くの外交的、経済的な手段を通じた輸出管理の手法が最も効果的となるのは、米国が欧州連合(EU)や日本などの同盟国と協力するときだ。バイデン政権と議会はトランプ政権の断固とした姿勢と、同盟国を動かす戦略とを組み合わせていく必要がある。

国内の強化に投資せよ

米国は技術的な優位性を保つために必要な投資を行っていく必要がある。最優先となるのは基礎科学や研究開発に対する連邦政府の補助金の長期的な減少(対国内総生産<GDP>比で計算)を覆すことだ。数多くの研究が、連邦政府の補助金が科学や医学分野での飛躍的進歩を生み出すだけでなく、高い経済収益率をもたらすことを示している。

マサチューセッツ工科大学の経済学者が提案するように、米国は(共和党が強い)赤い州などの地域――シリコンバレーのような伝統的な中心地とは離れた場所――でイノベーションの拠点に資金援助をすることで、地元経済を活性化し、収入の不平等を減らすことができる可能性がある。農村地域のブロードバンド拡張を通じネットの接続環境を改善し、また重要なインフラの長期的な更新に取り組んでいくことで、米国のイノベーションの力を支え、経済も強化できるだろう。

断固たる姿勢は必要だが大げさな態度は避けよ

次期政権は中国をあらゆる隅に潜む化け物だと見るような姿勢は避ける必要がある。政治家は今や、中国に絡む問題は全て国家安全保障の脅威と見ているのが実情だ。中国人スパイなど、いくつかの問題は確かにそうだろう。だがあまり行き過ぎると、そうした主張は米国の道徳上の権威をおとしめ、その他の点でも非生産的な結果を生む。

知的財産を不正取得することによるリスクは、米国の理系分野の中国人学生や研究者が不合理に悪者扱いされるという現象として表れた。彼らは米国の先端技術を盗む中国政府の戦略の手先だとみなされた。

法執行機関は今後も、知的財産の明らかな不正取得の事件の捜査を行っていくべきだ。だが、一般的な言説としては現実を認識してバランスを取っていく必要がある。その現実とは、米国の学術機関や企業は中国出身のよく訓練された技術者や科学者の供給から恩恵を受けている点と、その大多数の人々は中国の情報機関のために働いているわけではないという点だ。

同様に、米国での中国の影響に対抗しようとする最近の取り組みのいくつかはほとんど意味がなく、むしろ中国での米国の影響を損ねている。トランプ政権は静かに中国と香港でのフルブライト奨学金――研究や教育を行う米国民に支払われるもの――を停止した。このようなプログラムは米国の対中理解を深めるもので、今ほどその知識が重要なときはないのだが。

さらに厄介なのは、中国の新型コロナウイルスへの初期対応に関して投げかけられる敵対的な言葉――「中国ウイルス」といったひどい呼び名――がアジア系米国人に対する憎悪犯罪の急増にほぼ間違いなく影響していることだ。言葉は重要だ。

国内をよく統治せよ

米国は軍事面でも経済面でも支配的な地位にあるが、政治の機能不全が原因で、今後もその地位を保てるのか他の国から疑問視される状況となっている。米国は(欧州のように)コロナウイルス流行への対応につまづいた一方、中国は初期には誤りもあったものの、その後の対応の実効性は目覚ましいものがある。米大統領選では結果に異議が申し立てられ「不正があった」と主張される状況となっているが、それは我々の民主主義の機構をもろく見せる結果となり、中国にとっての勝利を意味するものになった。

中国への対抗姿勢は我々の政治的な分断をいやすものにはならないだろうが、両党とも米国が自国を十分統治できる力があることを示せるよう努力していく必要がある。

本記事は地政学的リスク分析を専門とする米国のコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」の中国及び北東アジア部門トップ、マイケル・ハーソン氏と同社のグローバル技術政策部門トップ、ポール・トリオロ氏が共同で寄稿したものです。記事における意見は両氏個人の見解です。

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