孤独の代償は死? 気の合う友人を見つけるためのノウハウ

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大人になってからの友人作りには多少の勇気と創造性、気持ちの調整が必要かもしれない/FilippoBacci/E+/Getty Images/File

大人になってからの友人作りには多少の勇気と創造性、気持ちの調整が必要かもしれない/FilippoBacci/E+/Getty Images/File

(CNN) 在宅勤務の一日を終え、宅配の食事を注文して、お気に入りの番組を一人で一気見する――。最高と思えるかもしれないが、これがルーティンになった場合、寿命が縮みかねない。

その根拠は、寿命を延ばす最善の方法は強固で前向きな人間関係を築くこと、という研究結果にある。

「人間という種の根本は社交にある。我々は根本的に、どこかに属している必要がある」。テキサス大学オースティン校のアミット・クマール准教授はそう語る。

それ以外の全てがそろっていたとしても、孤独の代償はとてつもなく大きい。

「社会的な孤立が寿命に及ぼす影響は、1日15本の喫煙に等しく、肥満や運動不足が及ぼす影響よりも大きい」。米国のビベック・マーシー医務総監(当時)は社会的つながりの「ヒーリング効果」に関する2023年の勧告にそう記した。

強い社会的関係の欠如は、ストレス増大、高血圧、早死に、対処能力の低下など、健康や幸福にかかわるリスク増大との関係が指摘されている。

大人になってから友人を見つけるのは難しいかもしれないが、努力する価値はある。クマール氏や女性の人間関係と健康問題に詳しい専門家のダニエル・ベイヤード・ジャクソン氏に、仲間を見つける方法を教えてもらった。

友人の壁を破る

人生でもっと多くの関係を築きたいと思う場合、何がその目標を阻んでいるかを考え、変化に備える必要があるとジャクソン氏は言う。

現実であれ想像であれ、拒絶されることを恐れる人もいれば、社会不安を抱える人もいる。しかしリスクを取らなければ、自分は社交的になれると脳に認識させる機会が与えられない。

認知行動療法を実践したり、「ちょっとした」瞬間に身を置いたりすることは、社会不安や拒絶に対して敏感になる感情をコントロールする助けになると専門家は助言する。

誰もが自分を好きになってくれるわけではない。しかしそれに対する感情的な反応をコントロールする術を身に着ける必要がある。その相手に対して「気まずかった」と思ったとしても、即座に嫌な相手と決めつけたり、自分のどこかに欠陥があると思ったりしてはいけない。

例えばウェーターと普段よりも少し長く雑談したり、断られると分かっていてもメニューの変更を頼んでみたりすることをジャクソン氏は勧める。スーパーでは無人レジではなく有人レジを利用すれば社交の練習になる。

社交を阻む環境を打ち破る

フードデリバリー、モバイルオーダー、デジタル読書端末、ライブ配信の宗教サービスなど、利便性を重視する現代の文化にも原因があると専門家は指摘する。

友人探しの相談を持ちかける依頼者に対してジャクソン氏は、デリバリーなどの便利なサービスを全てリストアップして、そこから幾つかを除外していくよう促す。それが偶然の出会いにつながる。

「自分には友人が一人もいないと考えたり、外出して親友を作ろうと考えたりすると負担が重い」とジャクソン氏。しかし隣人や映画館でいつも見かける相手など、身近な相手に目を向ければ、何かが起きるかもしれない。

そして、スマートフォンから離れること。画面ばかり見ているとよそよそしく見えてしまい、自分が好きかもしれない相手に気づけない。

同じような人々との出会いを求めて外出

出会いのためにどこへ行くべきかを決める際は、自分の価値観に照らして、どんな友人が理想的と思えるかを考える。もし人助けが好きならボランティア活動に目を向ける。読書家が理想的な友人だとしたら、水曜の夜の読書会や書店に行けば出会いがあるはずだ。

近くの図書館やファーマーズマーケット、公園などに頻繁に足を運ぶ。ネットで趣味の会やイベントを探したり、近くの友人を探すアプリを試してみる。ダンスやクッキングなど、ずっと前からやってみたかった何かを学ぶ講座を受講する。

長い間連絡が途絶えていた昔の友人に連絡を取ってみるのもいいかもしれない。「あなたから連絡をもらった相手が予想以上に喜んでくれることもある」とメリーランド大学で研究する心理学者のマリサ・G・フランコ氏は指摘する。

心理学者のローレン・クック氏は新米ママになった時、赤ちゃんを連れて散歩に出かけ、出会った女性たちに相手の赤ちゃんのことを尋ねたり、自分の子どものことを話したりして友人をたくさん作った。例えば自分のお気に入りアーティストのTシャツを着るなど、会話のきっかけになりそうなものを身に着けることもクック氏は勧めている。

自分がリーダーになることも忘れてはいけないとクック氏は言う。「そうした機会が自分のところに降ってきてくれるのを待っている人も多いかもしれない。しかし見つからなければ、自分で作ればいい」

例えば「友人の友人」を招くディナーパーティーを主催して社交の輪を広げた人もいれば、自分に合う講座が見つからなかったことからレンタルスペースを借りて自ら月1回の講座を始めた人もいる。

知らない相手と会話する方法

ちょっとした雑談はわずらわしく思えるかもしれないが必要だとクック氏は説く。深い関係を築くには時間がかかる。

もし話題が尽きたら、その時の状況に関係して何が好きかを尋ねるといい。例えばジャズバーにいる場合、好きなジャズアーティストについて聞いてみるなど。

もしも気になる相手がハイキング好きだった場合、「電話番号かインスタグラムを教えてくれればいい場所を送るよ」と声をかけ、その夜のうちにリンクを送る。1週間後、そこへ行ったかどうか尋ねて会話を続ける。

クック氏は、相手の話を聞きながら、その会話に自分が何をつなげられるかを考える「聞いてつなげる」テクニックも紹介している。例えば相手がコスタリカ旅行の話をしていて自分はサルが好きだった場合、コスタリカで見たサルのことを尋ねてみる。

新しい相手と会話を続ける方法の一つは、好奇心を持ち続けることだ。自分が全く知らない人物の場合、その相手について知るべき情報は何十年分もある。そのことを認識すれば、話すことが何もないなどあり得ない。

友情を持続させる方法

ジャクソン氏によると、恋愛関係を築くには継続的に努力して関係を育む必要があるという認識が浸透している一方で、友人関係については簡単で自然で無理なく育つと考える人が多い。これは、子どもの頃に同じクラスやスポーツの練習で毎日一緒に過ごして簡単に友人ができていたためかもしれない。

しかし大人になるとそれができなくなって、友情の自然消滅や孤独につながる。

友情は意識して持続させる必要があると専門家は言う。リマインダーを設定して連絡を取り、相手の話に耳を傾け、批判をさしはさまず、新しい知人が何を好きかを覚えておく。そうすれば、一緒に有意義な時を過ごすことができるかもしれない。そしてきっと、長生きすることも。

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