シャチの群れが世界最大の魚ジンベエザメを捕食、初めて詳細に記録 新研究
(CNN) メキシコ沖の太平洋で、シャチの群れがジンベエザメを狩りで殺す狡猾(こうかつ)な戦略を編みだした――。そんな新たな研究結果が発表された。ジンベエザメは世界最大の魚で、成長すると全長18メートルに達する。
シャチがジンベエザメを捕食できることは以前から断片的な証拠で示唆されていたが、海洋学者のチームは今回、カメラが捉えた4件の狩りの映像を分析し、捕食行動を初めて詳細に記録した。
シャチたちはこの中で、カリフォルニア湾の餌場に集まった未成熟なジンベエザメを狩っている。こうした若いジンベエサメはおおむね体長3~7メートルにとどまり、捕食者に対してより脆弱(ぜいじゃく)になる。シャチ対ジンベエザメの対決は壮絶な戦いになると思うかもしれないが、シャチは「優しい巨人」とも呼ばれるジンベエザメを楽々と仕留めている。
「ジンベエザメは体格に対する脳の割合が最も小さい」。こう指摘するのは論文の筆頭著者で、メキシコ海洋科学学際センターの研究員を務めるフランチェスカ・パンカルディ氏だ。
パンカルディ氏は「ジンベエザメは巨大な魚で、他のサメに比べて非常に動きが遅い。歯は小さく、防衛手段としては役に立たない」とも指摘。「彼らが身を守る術といえば、体を激しくよじらせるか、潜ることだけだ。水深2000メートル、あるいはさらに深くまで潜ることができる」と語った。
シャチは呼吸をするために水面に浮上してから、すばやく最後の一撃を加える/Kelsey Williamson