大麻の使用、思考や計画能力に影響か 米研究

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大麻の使用が集中力や記憶力などに悪影響を及ぼす可能性があるとの研究結果が発表された/Adobe Stock

大麻の使用が集中力や記憶力などに悪影響を及ぼす可能性があるとの研究結果が発表された/Adobe Stock

(CNN) 米国で大麻が合法化される州が増えるにつれ、大麻はストレス緩和や快眠の手段として受け入れられるようになってきた。だが、大麻は高揚感といった急性的な症状を引き起こすだけでなく、長期的に集中力や記憶力などに悪影響を及ぼす可能性があることが学術誌「アディクション」に掲載された研究報告で明らかになった。特に脳が成長過程にある青少年は影響が顕著という。

カナダ・モントリオール大学の臨床准教授で、共著者のアレクサンドル・デュメス氏は「集中力や記憶力、学習能力の低下など、大麻の使用によって損なわれる認知領域を、研究によって浮き彫りにすることができた。これらは日常生活にかなりの影響を及ぼす可能性がある」と述べた。

同氏はまた、「青少年が大麻を使用すると学業成績の低下を招き、成人の場合は仕事の能率低下や危険運転につながりかねない。常用者の場合、こうした症状はより悪化する可能性がある」と説明した。

大麻が脳に与える影響については、米ウィスコンシン大学のメーガン・モレノ博士も「脳が成長段階にある若者の認知能力の発達に、特に悪影響を与える可能性がある」と述べた。 脳は25歳まで成長を続けることが現在では分かっている。

高次の思考力

今回発表された報告では、4万3000人以上を対象とした研究を調査し、大麻の主要な精神活性化合物であるテトラヒドロカンナビノール(THC)が、脳の高次の思考力に悪影響を及ぼすことを発見した。これらの機能には、意思決定、重要なデータの記憶、計画立案、整理、問題解決、さらには感情や行動のコントロールといった能力が含まれている。

これらの機能が回復したり、元通りになったりするのかという疑問について、科学者たちは確信を持っていない。

デュメス氏は「THCは脂溶性化合物であり、体脂肪に蓄積されるため、数カ月にわたって徐々に血流に放出される可能性があることが研究で明らかになっている」と述べた。同氏によると、放出による長期的影響を立証するには、質の高い研究が必要だという。

大麻をやめると脳への悪影響が和らぐという研究もあるが、それも使用量、頻度、年数によって変わる可能性がある。また、大麻を使用し始めた時期が、脳が成長中の若年期だったかどうかも関係し得るという。

またデュメス氏は「これまでのところ、若年期に大麻を主に慢性的に使用したことで生じる最も一貫した変化は、前頭前野で観察されている。このような変化は、潜在的に認知機能と実行機能の長期的な破壊につながる可能性がある」と述べている。

さらに同氏によると、若年期に早くから頻繁に大麻を使用した場合、成人期に認知機能の低下が予測されることを示した研究もあるという。

デュメス氏は「青少年は特に大麻の影響を受けやすいため、大麻の使用に関する教育を行い、慢性的に使用しないようにする予防・介入策を検討すべきだ」と指摘している。

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