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暮らしや政治への満足感、過去最低レベルに 米世論調査

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米ニューヨーク市のグランドセントラル駅で、地下鉄に乗ろうと歩く人々/Spencer Platt/Getty Images

米ニューヨーク市のグランドセントラル駅で、地下鉄に乗ろうと歩く人々/Spencer Platt/Getty Images

(CNN) 暮らしや政治の現状に対する米国人の満足感は、かつてないほど低いレベルに落ち込んでいることが、最新の世論調査で分かった。

米世論調査会社ギャラップは過去20年間、米国人が暮らしや政治のさまざまな分野に満足しているかどうかを調べてきた。

今年の調査では計29の分野について質問した結果、それぞれに満足していると答えた人の平均は38%と、過去最低を記録した。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の2020年には、平均48%が満足と答えていた。昨年はこれが41%まで低下。新型コロナのワクチンが開発されて楽観的な空気が広がったのもつかの間、今年はさらに低い数字となった。

過去20年間、暮らしの面で毎回調査に含まれていたのは、生活の質(QOL)や政府の仕組みと機能、組織宗教の影響などの7分野。これらに満足していると答えた人は昨年、過去最低の39%にとどまった。今年は41%に上がったが、統計上意味のある差ではない。

これまで毎回繰り返されている政治面の質問は、人工妊娠中絶をめぐる政策や犯罪対策、経済状況、教育の質など16分野。こちらで比較すると、満足と答えた人は今年の35%が過去最低だった。

米国人の間に広がる不満は、最近発表されたほかの調査結果からも明らかだ。

米シカゴ大学が1972年から実施している総合的社会調査(GSS)には、総合的にみて自分が「とても幸せ」か、「まあまあ幸せ」あるいは「あまり幸せでない」かを選ぶ質問があり、パンデミック前は毎回、「とても幸せ」の回答が「あまり幸せでない」を上回っていた。

ところが最新の調査では、「とても幸せ」と答えた人の割合が過去最低の19%となり、「あまり幸せでない」が過去最高の24%で、これを大きく上回った。

米マリスト大学が昨年12月に実施した調査でも、今年の世界情勢の行方に楽観的な見方を示した人は49%と、09年にこの質問が設定されてから初めて50%を割った。

20年末には、56%が翌年の世界情勢を楽観視していた。新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)にもかかわらず、その時点では希望を抱いていた米国人も多かったことがうかがえる。

現在みられる負の感情の大きな要因としては、「パンデミック疲れ」が挙げられそうだ。

バイデン米大統領の新型コロナ対応に対する支持率から不支持率を差し引いた「純支持率」は、当初のプラス30前後から、今やマイナスの領域に踏み込んでいる。

米モンマス大学の世論調査によると、この先も新型コロナが収束することはないと考える米国人は28%あまり。60%が「収束するとしても1年以上かかる」とみている。昨年初めの調査でそう答えた人はわずか30%だった。

今年の調査では、新型コロナとの共存を受け入れて先へ進むべきだと答えた人が70%を占めた。

たとえ今後、新型コロナの状況に対する不満が解消されたとしても、政治への不満という長期的な問題は、当然ながら解決しない。

00年代初頭以降の世論調査で、米国が正しい方向へ進んでいるかという質問には、「間違った方向に進んでいる」と答える人が「正しい方向」と答える人を常に上回ってきた。

正しい方向に進んでいるとの回答は、昨年半ばにいったん45%前後を記録したものの、最近はまた30%を割るレベルに戻っている。

国への不満は特に、民主、共和の主要2政党に対する意見によく表れている。ギャラップがこの10年に実施したほぼすべての世論調査で、それぞれの政党に好意的な意見を持つ人は半数に満たなかった。

調査の冒頭で支持政党を尋ねる質問に、無党派と答える人が多いのもうなずける。

今年11月に予定される中間選挙について、有権者の3分の1近くは「だれが勝っても関係ない」と答えている。

国民の直面する問題は、確かに一夜で解決しないだろう。それでも、こうした数字が示す気の滅入るような現状とは違った、より良い「ノーマル」に戻れることを願いたい。

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