7000年前に死んだ10代女性のDNAから未知の現生人類の系統を発見 インドネシア

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スラウェシ島の洞窟の中で、大きめの石と並べて埋められた少女の骨格の残骸/University of Hasanuddin

スラウェシ島の洞窟の中で、大きめの石と並べて埋められた少女の骨格の残骸/University of Hasanuddin

(CNN) 7000年以上前にインドネシアのスラウェシ島で死んだ狩猟採集民の10代女性のDNAを分析したところ、これまで世界のどこからも見つかっていない現生人類の系統に属していることが分かった。

25日刊行の科学誌ネイチャーに、当該の研究論文が掲載された。

豪グリフィス大学人類進化研究センターの考古学教授、アダム・ブラム氏は電子メールで今回の発見について、アジアとオーストラリアの間に位置する島嶼(とうしょ)地帯「ウォーレシア」で見つかった初めての古代人のDNAだと説明。世界の中でも知見の少ない地域の初期現生人類について、遺伝子上の多様性と集団史を探る新たな手掛かりになるとの認識を示した。

女性の骨が発見されたスラウェシ島の遺跡/Leang Panninge Research Team
女性の骨が発見されたスラウェシ島の遺跡/Leang Panninge Research Team

スラウェシ島、ロンボク島、フロレス島といったインドネシアの島々で主に構成されるウォーレシアを経由し、初めて現生人類がユーラシア大陸からオーストラリア大陸に渡ったのは5万年以上前と考えられている。具体的な経路や航行の手段は不明だが、かなり精巧な舟を使ったはずだとブラム氏はみている。当時は最終氷期で、地球上の海面の高さは現在より最大140メートル低かったが、それでも島々をつなぐような陸地は存在していなかったという。

道具や洞窟壁画の発見から、これらの島々には4万7000年前までに人が住み着いていたとみられる。今回分析の対象となった骨は17~18歳の女性のもので、2015年にスラウェシ島の洞窟で見つかった。考古学上の遺跡の一部でもあるその洞窟に遺体が埋められたのは7200年前にさかのぼる。

DNAは錐体(すいたい)骨と呼ばれる楔(くさび)形の骨から採取した。論文筆頭著者のセリーナ・カールホフ氏によると、熱帯性の気候の中で分解が著しく進んだ残骸からの採取は非常に困難だったという。

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