恐竜の絶滅、原因は彗星? 小惑星説に対する新研究発表

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地球に衝突し恐竜を絶滅させた天体は小惑星ではなく彗星だったとする新説が発表された/Tobias Roetsch/Future Publishing via Getty Images

地球に衝突し恐竜を絶滅させた天体は小惑星ではなく彗星だったとする新説が発表された/Tobias Roetsch/Future Publishing via Getty Images

(CNN) 太古の時代に宇宙から飛来し、地球に衝突して恐竜の絶滅を引き起こしたのは小惑星ではなく彗星(すいせい)だったとする新たな研究がこのほど発表された。

米ハーバード大学の研究者らの理論によると、6600万年以上前に彗星の一部が地球に衝突し、現在のメキシコ・ユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターを作り上げた。研究論文は15日、学術誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。

チクシュルーブ・クレーターの直径はおよそ177キロ。衝突の年代は白亜紀と古第三紀の境で恐竜をはじめとする多くの種が絶滅したとされる。

論文の共同執筆者を務めたハーバード大学のアブラハム・ローブ教授はこの大規模絶滅について、彗星の一部が引き起こしたと述べており、小惑星の衝突を原因とするこれまでの多くの科学者とは見解を異にしている。この彗星の起源は「オールトの雲」と呼ばれる小天体の集団。氷を主成分とするオールトの雲は、太陽系の外縁に広がっているといわれる。

CNNの気象の専門家によれば、彗星は宇宙の塵(ちり)の1つで、大部分が氷の状態のガスから形成されている。これに対し岩石である小惑星は、一般的に火星と木星の間に存在する小惑星帯で見つかる。

彗星の一部が地球に衝突する道筋について、論文は次のように推定する。オールトの雲から太陽系の中心に飛来する彗星は、木星の重力によって急激に加速。太陽まで到達する。「木星がピンボールマシーンのような役割を果たす」と、ローブ氏は語る。

太陽に近づくと、彗星はその重力で砕かれ、複数に分かれた可能性がある。ローブ氏によると、彗星がより多くの数に分かれるほど、太陽から遠ざかる際に地球へ衝突する確率も高まるという。

公転周期が200年を超える長周期彗星の場合、チクシュルーブ・クレーターを作り出すような衝撃を地球にもたらす確率は38億~110億年に1度だと論文は試算する。直径約10キロの小惑星だと、同様の事象が発生する確率は3億5000万年に1度になるという。

ただ他の研究者からは彗星説に異論を唱える声も出ている。イリジウムや他のいくつかの化学元素がクレーター誕生後に地球上の至る所に散らばったことがわかっているというのがその根拠だ。

米テキサス州ヒューストンにある月惑星研究所の主任研究員を務めるデービッド・クリング氏は、これらの元素の組成について、隕石(いんせき)として落下した小惑星のサンプルにみられるものと同じだと指摘。ローブ氏らの論文のモデルが誤りだとする証拠は全くないとしながらも、現存する多くの証拠は依然として小惑星が衝突した公算が最も大きいことを示唆していると主張した。

また論文が彗星の一部の大きさを約6.4キロと推計しているのに対し、チクシュルーブ・クレーターの形成には少なくとも約12キロの大きさが必要だと指摘する研究者もいる。

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