南極点の気温、地球平均の3倍のペースで上昇 過去30年のデータを分析

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南極のアムンゼン・スコット基地。南極点の気温が世界平均の3倍超の早さで上昇していることがわかった/DAVID MCCARTHY/AFP/Getty Images

南極のアムンゼン・スコット基地。南極点の気温が世界平均の3倍超の早さで上昇していることがわかった/DAVID MCCARTHY/AFP/Getty Images

(CNN) 過去30年間の南極点の気温が、世界の平均の3倍を上回るペースで上昇していることが新たな研究で明らかになった。氷床の溶解や海洋生物、世界的な海面の上昇といった事柄に大きな影響をもたらす可能性がある。

研究は気候変動に関する6月29日刊行の科学誌に掲載された。研究者らは数年前から南極の周辺領域が温暖化していることは把握していたが、南極大陸の中心部では地球上の他地域のような気温上昇は起きていないと考えていた。今回の研究により、南極中心部であっても地球温暖化と無縁ではないことが浮き彫りになった。

研究チームは南極点の測候所のデータと複数の気象モデルを分析し、南極大陸内陸部の温暖化について検証した。その結果、1989年から2018年にかけて南極点の気温は約1.8度上昇していることが分かった。10年ごとに0.6度ずつ上がっている計算で、これは地球平均の3倍のペースに相当する。

研究者らによると、こうした温暖化の主因は約1万キロ離れた熱帯地方での海面温度の上昇だという。過去30年間、豪州の北やパプアニューギニアなどが属する太平洋西部の熱帯地方では海面温度が上がり、より多くの暖かい空気が南極点に運ばれていたとみられる。

世界気象機関によると、南極の氷床には世界の海面を60メートル近く上昇させるだけの水が含まれている。これが溶解すれば、各国の沿岸部に暮らす数百万人にとって特に大きな影響が及ぶことが懸念される。

また複数の気象モデルを使って計算したところ、人間の活動に起因しない自然の気候変化のみによる温度上昇で南極点の気温が1.8度上がる確率は0.1%だった。南極点の温暖化に人間の活動が関係していない可能性はゼロではないが、「非常に小さいものだ」と研究者らは見ている。

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