初期人類の幼児、樹上で生活か 330万年前の化石を分析

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「セラム」と名付けられた化石

「セラム」と名付けられた化石

(CNN) 330万年前の初期人類の幼児は木に登って暮らしていた――。米科学誌サイエンス・アドバンスに4日、化石の足を詳細に調べた結果として、そんな論文が発表された。

この化石の通称は「セラム」で、エチオピアのアムハラ語で「平和」を意味する。アウストラロピテクス・アファレンシスと呼ばれる人類の初期の祖先に属しており、死亡時は3歳に近かった。

化石の発見は2002年。エチオピアのディキカ地域で、ほぼ完全に近い状態の骨格が見つかった。しかしセラムを地中から掘り起こすのには時間を要した。セラムは数百万年前の堆積(たいせき)物に覆われており、極めて慎重な取り扱いが求められたためだ。

最近ではセラムの骨格の中でも足が研究対象になっている。

論文の筆頭著者を務めた米ダートマス大のジェレミー・デシルバ准教授は声明で、「300万年以上前の2歳半の幼児が歩く様子について、初めて垣間見ることができている」と説明。初期の子どものものとしてはこれまで発見された中で最も完全な足の化石だと指摘した。

ヒト族の子どもの骨格が良い保存状態で見つかることは非常に珍しい。

これ以前に最古の完全な足の化石とされていたのは180万年前のもので、「OH8」と呼ばれるホモハビリスの骨格の一部だった。

アウストラロピテクス・アファレンシスは直立歩行を行っていた。ただ、アファレンシスには類人猿のような特徴もあり、セラムも同年齢のチンパンジーに近い背格好だったとみられる。母親が食料採集に出ている際は、体にしがみついているか、樹上で過ごしていた可能性が高い。

アファレンシスの体の大きさを考えると、ハイエナやジャッカルなどの捕食動物は脅威だっただろう。捕食者から逃げる意味でも、夜間に落ち着く場所を確保するという意味でも、木が安全な場所となっていた可能性がある。

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