マスク氏の今年の納税額は1.25兆円、ここまで膨らむ理由とは

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マスク氏の今年の納税額が桁違いの水準に膨れ上がる理由とは/Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg/Getty Images

マスク氏の今年の納税額が桁違いの水準に膨れ上がる理由とは/Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg/Getty Images

ニューヨーク(CNN Business) 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先週末、今年の納税額が110億ドル(約1兆2500億円)に上る見通しだと明らかにしたが、この発言はおそらく正しい。同氏が最近の株取引に関して証券取引委員会(SEC)に提出した文書はこの桁違いの数字を裏付けている。

マスク氏は19日のツイートで計110億ドルという納税額を明らかにしたものの、それ以外の詳細は乏しかった。

マスク氏はエリザベス・ウォーレン上院議員との先週のツイッター上の応酬でも、今年の納税額が史上最大になるとの見通しを示しており、今回のツイートはそれと大差ない内容だ。

調査報道専門ニュースサイト「プロパブリカ」の調査によると、米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏やマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長ら他の大富豪と同様、マスク氏の2018年の所得税は合法的にゼロとなっていた。

世界一の富豪であるマスク氏は現金の給料やボーナスではなく、ストックオプション(自社株購入権)を通じて支払いを受けている。ストックオプションにより、マスク氏はテスラ株をオプション発行時の市場価格で購入する権利を得るが、権利行使時の株価はこれを大幅に上回っている公算が大きい。

マスク氏は12年、株式分割調整後ベースで2550万株分のオプションを付与された。うち2290万株分のオプションについてはその後、テスラが特定の事業上・財務上の目標を達成した際に権利が確定する仕組みだった。ただ、オプションにかかる税金は株式購入の権利を行使するまで支払う必要がなかった。

一連のオプションは22年8月に失効するため、マスク氏は今年11月上旬にこれらを株式に転換するプロセスに着手。企業の内部関係者に求められる通り、こうした取引についてSECへの提出文書に記載した。

オプションを行使すると、新たに購入した株は所得課税の対象となる。マスク氏の税率区分の場合、税率は40.8%となる。

巨額の税金はここから発生する。

当局への提出文書によれば、こうした取引で発生する源泉徴収税の支払いに充てるため、マスク氏は新規取得した株式の一部を売却。これまでに計750万株、行使価格も含めて78億ドル分を売却した。

オプション行使で取得した株式の売却に加え、マスク氏はこのプロセスの最初から信託に預けていた540万株あまりも売却したが、こちらの売却にはより低率の長期キャピタルゲイン税20%が課される。

これら全てを合算すると、マスク氏の21年の株取引にかかる連邦税は約84億ドルとなる。

ただ、税金はこれだけにとどまらないとみられる。

マスク氏によるオプションの行使と一部株式の売却は、企業の内部関係者がインサイダー取引の罪に問われない形で株を取引できるようにする事前の計画の一環で実施されている。

過去の取引を基にすると、マスク氏は年末までに少なくともあと420万株分のオプションを行使する可能性が高く、8月に失効する残り570万株分のオプションをすべて行使する可能性もある。その場合、税額は16億ドル~21億ドル増えるとみられる。

従って、年末までにはマスク氏の納税額は110億ドル近くに達する見通しだ。

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