サウジアラムコ、2020年決算は44%減益 コロナが打撃
ニューヨーク(CNN Business) サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは21日、2020年決算を発表し、利益は前年比44.4%減の490億ドル(約5兆3000億円)だった。同業他社と同じように新型コロナウイルスの流行が打撃となった。
サウジアラムコは大幅な減益を受けて、2021年の支出を当初の予想より引き下げる。サウジアラムコによれば2021年の設備投資は約350億ドルを予定しているが、これは当初の試算の400億~450億ドルからは大きな引き下げとなる。
しかし、将来の見通しについては楽観視しているようだ。750億ドル規模の配当支払いは維持したほか、2021年末までには石油の生産量は新型コロナウイルスの流行前の水準に戻るとの見通しを示した。
サウジアラムコのナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は2021年については非常に楽観視していると語り、年末までに生産量は1日あたり9900万バレル近くになるとの見方を示した。「ワクチンの開発によって状況がもっと良くなる」とも指摘した。
利益の落ち込みは新型コロナウイルスが世界のエネルギー市場に与えた影響を反映したものだった。昨春からの新型コロナウイルスの流行により、旅行需要は激減し、石油の利用が急速に落ち込んだ。同時期、サウジアラビアはロシアとの価格戦争の一環として生産量を引き上げた。このことが大規模な石油の生産過剰につながり、石油を保管しておく余地が世界中で失われた。
石油価格は歴史的な落ち込みをみせたが、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが減産で合意し、石油価格も回復した。