コロナ禍で売れ残ったビールをジンに 酒造会社が無料で蒸留

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酒造会社「木内酒造」が売れ残ったビールをジンに作り変える支援活動に取り組んでいる/Sadamu Saito

酒造会社「木内酒造」が売れ残ったビールをジンに作り変える支援活動に取り組んでいる/Sadamu Saito

(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、バーやレストランの売り上げは大幅に落ち込んでおり、ブルームバーグ通信によると、2020年上半期の日本のビール販売量は26%も減少した。

これは小規模なビール醸造所にとっては死活問題、と老舗の酒造会社「木内酒造」の蒸留責任者、米田勇氏は危機感を募らせる。木内酒造は、直営のバーやレストランの来客がほとんどなく、海外からの注文もキャンセルが相次いだため、大量のビールの在庫を抱えた。

そこで同社が選んだ解決策は、売れ残ったビールを他のアルコール飲料に変えることだった。

木内酒造は今年4月、東京蒸溜所で「SAVE BEER SPIRITS」キャンペーンを開始し、飲食店やビール醸造所から賞味期限が4~6カ月しかない未使用ビールを預かり、賞味期限がないジンに変えて返す取り組みを行っている。

ビールを廃棄から救え

木内酒造は、1823年に酒造りを始めたが、酒税法改正による規制緩和を機にクラフトビール造りに乗り出し、24年前から「常陸野ネストビール」を製造している。

米田氏によると、ビールをスピリッツに変えるのは新しいイノベーションではないという。木内酒造では長年ビールを使って梅酒を製造しており、過去にジンの製造を試したこともある。

大半のジンは、大麦、ライ麦、小麦などの穀物をベースに作られる。穀物を煮込み、発酵させて麦芽汁を作り、それを蒸留してアルコール度数の高い「中性」スピリッツを作る。そのスピリッツにジュニパーベリーなどの芳香植物を加え、2度目の蒸留を行う。

ビールを使ってジンを作る場合は、この中性スピリッツの代わりにビールを用いる。そして、麦芽汁と発酵の過程を省略し、いきなり蒸留を行う。

スピリッツにジュニパーベリー、山椒、レモン、夏みかんを使った木内酒造「SAVE BEER SPIRITS クラフトジン」/Sadamu Saito
スピリッツにジュニパーベリー、山椒、レモン、夏みかんを使った木内酒造「SAVE BEER SPIRITS クラフトジン」/Sadamu Saito

米田氏によると、このプロジェクトに参加する飲食店は、20リットル以上の未使用ビールを木内酒造に送ると、同社はジンにして送り返すという。木内酒造は100リットルのビールから8リットルのジンを製造可能で、標準的な750ミリリットル入りのボトルか、缶かサーバー入りの発泡性のジンカクテルのいずれかを送り届ける。

米田氏によると、ビールベースのジンは苦味があるが、木内酒造ではジュニパーベリーに加え、山椒、レモン、夏みかんを使い、かんきつ類の香りで苦味を和らげるという。

飲食店は往復の送料のみを負担し、蒸留は木内酒造が無料で行う。

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