バイデン氏が掲げる税制案、知っておくべきこと

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バイデン氏の打ち出した税制案。その中身とは/Win McNamee/Getty Images

バイデン氏の打ち出した税制案。その中身とは/Win McNamee/Getty Images

ワシントン(CNN) 米民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領が掲げる複数の政策案が実現すれば、米国の税法は変わることになる。

大まかに言って、同氏の提案する富裕層や企業への増税は、共和党が支持する複数の減税の撤廃を意味する。これらの減税策はトランプ氏が2017年に署名して法律となった。

たとえ選挙戦を制しても、バイデン陣営の計画が提案通りに実現する公算は小さい。ただ、民主党が上院で過半数を奪還し、下院での過半数も維持すれば、法律として通しやすい環境になりそうだ。

以下、バイデン氏の税制案について知っておくべきことを挙げる。

年収40万ドル以下の人は増税しない

バイデン氏は年収が40万ドルに満たない人(納税者の9割以上が該当)には増税しないと約束している。直接税のみについて考慮する場合、複数の経済モデルはそれが事実に反しないことを示している。こうしたモデルには、非営利の超党派組織「責任ある連邦予算委員会」やペンシルベニア大学ウォートン校の作成したものが含まれる。これらの納税者に関しては、内国歳入庁(IRS)に支払う税金の額が増えることはない。

ただ間接税については少し話が違ってくる。たとえばバイデン氏は法人税の引き上げを提案しているが、エコノミストの想定によると労働者は最終的にこうした税金のコストの一部を負担することになるという。労働者の所得税率は上がらないものの、税引き後の賃金は下がる可能性がある。

そうした想定の下でも、ペンシルベニア大学ウォートン校のモデルは、高所得者の負担が非常に重くなることを示している。年収40万ドル以下の人の税引き後所得が平均で0.9%下がる見通しなのに対して、これを超える人の低下率は同17.7%となっている。バイデン氏は子どものいる世帯への税額控除の拡大や、1軒目の住宅購入者に対する税額控除を復活させることも提案している。

富裕層は増税

連邦税の最高税率は37%から39.6%に引き上げる方針で、これはトランプ政権前と同水準。実現すれば課税所得が40万ドルを超える人々に影響が及ぶ。

バイデン氏はまた、40万ドル以上の収入を社会保障給与税の課税対象にするとしている。現行の制度では、課税対象となる収入は13万7700ドルを上限とする。

米シンクタンクのアーバン研究所とブルッキングス研究所の共同事業「タックス・ポリシー・センター」の報告によると、例えば上位1%の高所得者の場合、税引き後所得が平均15.9%下がる計算になるという。

企業も増税

バイデン氏の案では法人税を21%から28%に引き上げる。このほか帳簿所得に対する15%のミニマム税の導入や国外の利益への増税を盛り込む。

米シンクタンクのタックス・ファウンデーションが分析したところによれば、バイデン氏の案が見込む税収の増加分のうち、約51%は企業に対する課税が占めるという。

10年で2.4兆~4兆ドルの税収増に

当初の分析では、バイデン氏の税制案によって10年間で税収が4兆ドル以上増えると試算されていた。しかし同氏がより多くの項目を加えた後の分析では、コストは2兆ドル近くになるとの報告が相次ぐ。10年間での税収の伸びは、右派系のアメリカン・エンタープライズ・インスティテュートが2.8兆ドル、タックス・ポリシー・センターが2.4兆ドルと、それぞれ推計している。

確定拠出型年金口座の扱いにも変化

バイデン氏はさらに401Kと呼ばれる確定拠出年金について、税法上の扱いを変更し、低所得者の税控除を拡大することも提案する。これは高所得者の控除額が現在よりも少なくなる可能性を示唆する。

バイデン陣営の案はいくつかの重要な点が明確でないが、運用者が毎年最大1万9500ドルの税控除を受けられる現行のシステムから、拠出額の一定割合を還付可能な税控除とする形式に変更する可能性がある。

タックス・ファウンデーションによれば、共働きで最大8万250ドルほどの年収を得ている夫婦なら、こうした変更から恩恵を受ける。一方で、より高所得の区分に属する人たちにとっては、税制優遇策のもたらすメリットが現行法に比べてある程度低下することになるという。

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