「患者の運命はもう手に負えない」 ガザの病院に最後まで残る医師、絶望的な状況語る
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区南部のナセル病院に残った数少ない医師の1人がCNNの電話取材に応じ、イスラエル軍に襲撃されて1週間にわたって包囲が続く状況を「絶望的で壊滅的」と形容した。
「電気も酸素も暖房もなく、食料や水もほとんどない。我々は完全に包囲されている」。ナセル病院のハテム・ラバ医師はそう語る。
「私は医師として、看護師として、清掃員としての仕事をしている。患者の手当てをして食事を食べさせ、着替えさせ、話し相手になり、家族のようになぐさめている。私は疲れ果てている」
ナセル病院はガザ地区で機能し続けていた中で最大の病院だったが、激しい爆撃が数日間にわたって続いた後、15日にイスラエル軍が突入した。
パレスチナ保健省は先週、ガザ地区にある36の病院のうち、一部でも機能しているのは11病院にすぎないとしていた。
イスラエル国防軍は19日、ナセル病院に隠れていたハマスの戦闘員数百人を拘束したと発表。中には医療従事者を装った戦闘員もいたと主張している。さらに、イスラエルの人質の名前が書かれた医薬品も見つかったとしていた。
一方、ガザの保健省はこれを否定。「病院はガザの民間人にサービスを提供している」と反論した。
ハテム医師によると、15日に病院に突入したイスラエル軍は、医師や医療従事者に病院から出るよう命じ、下着姿にさせて厳しい寒さの中で何時間も待たせたという。その後5人の医師のみが患者の手当てのために戻ることを許された。
「同僚や住民の前で、医師として屈辱的で尊厳を傷つけられた瞬間だった」とハテム医師は振り返る。
同じような証言は、イスラエル軍が立ち入ったガザ地区のほかの病院でも伝えられている。