(CNN) 飼育下にあるカリフォルニアコンドルのメス2羽から、オスなしで子どもが1羽ずつ生まれていた――。研究チームが先週、そんな論文を発表した。絶滅危惧種に指定されている同種でこのような例が確認されるのは初めて。
こうした生殖方法は他の脊椎(せきつい)動物や鳥類でも見られるが、メスがオスと接触できる環境にいる鳥類で確認されたのは初とみられている。
1羽目の子どもは2000年代前半、2羽目は00年代後半に生まれた。研究チームはサンディエゴ動物園野生生物連盟が運営する繁殖プログラムでコンドルの生物学的試料を分析した際、これに気づいたという。
研究結果は10月28日付の学術誌「ジャーナル・オブ・ヘレディティー」で発表された。研究者の一人は、この発見で他にどれだけ多くの種が気づかれないまま単為生殖を行っているのか、問題を提起する形になったと語る。
当該のメスのコンドル2羽は繁殖プログラムの下、生殖能力のあるオスとともに継続的に収容されており、どちらもオスとの間に数多くの子どもを作っていた。だが最近の遺伝子検査の結果、子どものうち2羽は異例な個体であることが判明した。
この2羽は卵を産んだメス2羽とは遺伝的なつながりがあったものの、オスとの遺伝的なつながりはなかった。つまり、どちらも生物学的な父親はいないことになる。
野生生物連盟の責任者、オリバー・ライダー氏は声明で「衝撃だった。親子関係を証明するための通常の遺伝子研究で初めて確認できた」と振り返る。
1羽目の子どもは03年、2歳の誕生日の直前に死んだ。2羽目は17年、8歳になる前に死んでいる。
脊椎動物が単為生殖するのは珍しいが、新しい出来事ではない。魚類やは虫類などの一部の種で見られる現象で、生殖相手となるオスから隔絶されたことに対応した可能性があると科学者は見ている。
鳥類で単為生殖が確認されるのはまれで、主にオスから離れた家畜の七面鳥や鶏で確認されている。08年の研究では小鳥のフィンチ、1924年の研究では飼育下のハトで単為生殖が始まったことが確認されたが、卵はふ化しなかった。
研究チームは、鳥類の他の事例と比べた場合、コンドルに関する今回の結果は際立っているとの見方を示す。
「鳥類の単為生殖の他の事例とは異なり、今回の2件は適当なオスの不在によっては説明がつかない」。同連盟の保護調査部門に属するシンシア・スタイナー氏はそう指摘した。
カリフォルニアコンドルは長年、絶滅危惧種とみなされてきた。国際自然保護連合によると、野生環境で確認されている成鳥の個体は200羽程度だという。